8月9日(土曜)の15:40-17:20に、第50回全国英語教育学会の課題研究フォーラム(関西英語教育学会)の「生身からのことばで語る―AI時代の英語教師の成長―」に登壇します。登壇の機会を与えてくださった関西英語教育学会の皆様に感謝します。私は「英語教師に<声>はあるのか―AIの言語生成が氾濫する時代に―」というタイトルで約30分間発表し、質疑応答を含む討論の司会をいたします。
■ 課題研究フォーラムの趣旨
「生身からのことばで語る―AI時代の英語教師の成長―」の趣旨は以下の通りです。
大規模言語モデルAIの普及により、これまで以上に大量の「おざなりのことば」が生成されている。ビッグデータに基づき、言語慣習と常識的見解には即しているが、生身の情動から発されていない言語表現である。だが、教師と学習者を人間的に成長させるのは「生身からのことば」である。全身で感じる情動・思考を相手に届けるためにことばを選びそれを声に出す。そんな「生身からのことば」を感じた時、学習者は鼓舞され、教師は身を正す。
多くの教師は、学習者と「おざなりのことば」でしか語らないことを拒否することで、教育者としての力量を上げてきた。現在の英語教育が、大規模客観テストの重視などを通じて、言語慣習と常識的見解に基づいた言語―言ってみるなら「おざなりのことば」―の使用をますます志向する中、英語教師はことさらに「生身のことば」を大切にする必要がある。
■ 課題研究フォーラムの進行
1. 全体説明:山本玲子(京都外国語大学):約5分
2. 提案:柳瀬陽介(京都大学):約30分
「英語教師に<声>はあるのか―AIの言語生成が氾濫する時代に―」
3. 報告:山本玲子(京都外国語大学):約45分
「教師インタビュー『生身からのことば』事例報告」
*指定討論者:吉田真生(京都大学大学院)
4. 質疑応答を含む討論:約20分
※ 課題研究フォーラムのメンバーである長嶺寿宣先生(龍谷大学)は、今回は諸般の都合で登壇できません。
※ 吉田真生さんは、インタビューを受けてくださった方です。今回は特別に登壇し、私たちのインタビュー解釈の妥当性について直接コメントしていただきます。
■ 柳瀬発表の趣旨
私の発表の「英語教師に<声>はあるのか―AIの言語生成が氾濫する時代に―」は、英語教師が学習者に対して一人の人間として向き合えているのかについて問いかけます。基調になっている問題意識は、AIが学習者指導の多くを代行しかねない時代の英語教師の存在意義です。ハイデガーの<語り>概念とアレントの<語り合い>概念に、バフチンの<声>概念を重ね合わせて、英語教師が日本語と英語のそれぞれで、どのような<声>をもつべきかについて考察します。
■ 柳瀬発表と山本発表のスライドのダウンロード
ご興味のある方は、下をクリックして発表スライド(PDF版)をダウンロードしてください。
「参加してよかった」と思っていただける集まりにしたいと思っております。ご興味があればぜひ会場 (W-104) にお越しください。