2024/04/22

"AI is an empowerment tool to actualize the user's potential."

 

本日、「AIはユーザーの潜在的能力を現実化するツールである。AIはユーザーの力を拡充するだけであり、AIがユーザーに取って代わることはない」ということを再認識しました。


私は、これまで 1) 学生がAIなしで英文を書く、2) 学生にAIフィードバックを与える、3) 学生がフィードバックを基に自分なりに納得できる英文に改訂し、かつその改訂の根拠を書いたレポートを書く、4) 教師がレポートをチェックし時折指導を加えるというライティング授業を行ってきました。(【Ver.4.2に改訂】ChatGPT学術英語ライティング添削・改訂プロンプト -- 語法添削と3種類の改訂例を出力


今期、ある選択科目クラスで毎週のポートフォリオを書かせる際に、学生に適切にAIを使いこなしてもらおうと思いました。そこで特に上の 3) のレポート作成(特に根拠の提示)と 4) のチェックをせずに、学生さんにはただ、自分の英文とAIが改訂した英文の両方をポートフォリオに提示するように求めました。AIプロンプトは「【Ver. 1.1】英文の内容や情報を変えずに文体だけ学術英語的なものにするプロンプト」を使いました。


今、第2週目のポートフォリオをチェックしたところでしたが、 先日の翻訳家の方々とのセミナーで語り合ったことを痛感しました。それは、AIをもっとも有効に使いこなせる者はAIを利用しない生身の力が高い人であり、生身の力が乏しい人はAIを有効に活用できなかったり誤用したりしかねない、ということです。(「AI活用型英語ライティング授業を行う大学教師の実践と構想」 -- 日本語話者は外国語の学習と使用においてAIの使い方を間違ってはならない


少し敷衍するとこうなります。


「AIは、ユーザーが莫大な時間と細心の注意を注げば達成できる課題を一瞬でほぼ正確に完成させる。つまり、AIはユーザーの潜在的能力を現実化する道具である。留意すべきは、ユーザーが、自分の潜在的能力を超える課題をAIに課した場合、ユーザーはAIの出力についての判断ができないことである。そういったユーザーは、AI出力をそのまま使うことによって、自分の意図しない結果を享受しなければならない可能性がある。AIを活用するには、生身の力をつけるか、指導者のもとで注意深く使わなければならない。」


別にAIがしばしば間違った英語を出力するというのではありません。しかし、一回の改訂ではAIは微妙にニュアンスが異なる箇所をそのまま残す場合があります(これは学生さんが使っているChatGPTがGPT-3.5だからかもしれません。また英文に修正・改訂すべき箇所が多い場合、AIの修正・改訂が不十分になる場合もあります)。


もちろん改めてChatGPT (GPT-4) やClaude 3 (Opus) に当該箇所の用法について尋ねますと、的確にその不適切性を説明してくれます。しかし多くの英文を改訂する中で、このような箇所をそのままにする場合があります。


確かに人間教師も、時間に追われたら添削が雑になることはあります。指摘ミスは人間も行うでしょう。ですが、やはり、まだまだ生の英語力がついていない学生さんがライティングでAIを使う場合、指導者がその使用の結果を注意深く観察して必要な指導をする必要があります。また学生さんも現在のAIは大規模言語モデルであり、(莫大な)確率計算で文字列を生成しているだけだということを自覚しておく必要があります。


指導者なしにAIをライティングで使っても、学習者が学べるのは彼(女)が潜在的に知っていること(=ぼんやりと知っているだけでライティングの際には適用することができなかった知識)についてだけといえるでしょう。AIを活用するには生身での力が必要です。あるいはAIへの入力とAIからの出力を比べて学ぶべき点を確認してくれる指導者が必要です。


とはいえ、それは学習者はAIのように書けなければAIをライティングで使用してはならないということにはなりません。学習者は確かなリーディング力をもっていれば、AI出力を読み取ってそれが自分が求める表現かどうかを判断することができます。


つまり学習者は、自分が書きたい英文がどのようなものであるかをリーディング体験から潜在的に知っておけば、自分の表現と自分が願う表現(=AIによって提示され、自らのリーディング力でその妥当性を確かめた表現)を比較して、自分のライティング力を上げることができます。いわば自分のライティング力を限りなく自分のリーディング力に近づけるわけです。





私はこういった原則をAIについて最初に行った講演(2021年6月)で述べておりましたが、本日改めてこういった原則の重要性を再認識した次第です。



【約7,000字】 AIの発展を踏まえた上でのこれからの大学英語教育についての一考察

https://yanase-yosuke.blogspot.com/2021/05/7000ai.html



もはやAIを使うべきか禁止すべきかを議論すべきではないと私は考えます。英語表現がよく言うように "AI is here to stay."だからです。問うべきは、AIの賢い使い方は何で、愚かな使い方は何かです。


そもそも、AIによって英語学習が不要になることも、英語教師が無用になることもないと考えます。むしろAIの普及に伴い、人間が行う学習も指導もより高度になるといえるでしょう。


今後も実践経験を重ねる中で、教育におけるAI活用について考え続け、いろいろと情報・意見の交換をしてゆきたいと思います。



2024/04/16

柳瀬陽介 (2023) 「「英語力」をこれ以上商品化・貨幣化するためにAIを使ってはならない─技術主導の問いから人間主導の問いへ─」『早稲田日本語教育学』第35号 pp.57-72

 

この度、『早稲田日本語教育学』の第35号に、拙論「「英語力」をこれ以上商品化・貨幣化するためにAIを使ってはならない─技術主導の問いから人間主導の問いへ─」を掲載していただきました。同号は「人工知能知能時代の日本語教育」をテーマにしたのですが、それに伴い、日本語教育と英語教育という違いを乗り越えて執筆のお誘いをくださり拙論を掲載してくださった編集部の皆様に心から感謝申し上げます。


■ 論文単体をダウンロード

早稲田大学リポジトリ 『早稲田日本語教育学』 第35号 【特集】人工知能時代の日本語教育--テクノロジーとの強制を目指して-- pp.57-72.

https://waseda.repo.nii.ac.jp/records/2000817


■ 第35号全体をダウンロード

『早稲田日本語教育学』第35号 【特集】人工知能時代の日本語教育--テクノロジーとの強制を目指して-- pp.57-72.

https://waseda.app.box.com/s/z3rrc0wycuv9zewspmgo4iftjaw9i1rp


■ 『早稲田日本語教育学』について

『早稲田日本語教育学』

https://www.waseda.jp/fire/gsjal/research/journal_publication/



この論考は、2023年8月9日にLET全国大会で講演した内容の主要部分を基にしております。


LET62基調講演「AIによる英語教育の商品化と格差の拡大を防ぐ

― テクノロジーは人権尊重のために ―」投映スライドと解説動画の公開

https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/08/let62ai.html


主要部分の議論は、「近代社会の歪みをこれ以上悪化させるためにAIを使ってはならない」という原則の下に、資本主義・新自由主義的な英語教育の管理をAIで加速させることを防ぐべきというものでした。

ですが実は、私がこの発表前日にこの学会に参加した際には、この講演は非常なる不評に終わるのではないかと本気で心配していました(会場外のベンチで、今更ながらに発表スライドを見直して「どうしよう」と悩んだことを今でも覚えています)。会場の三分の一からはブーイングをもらい、もう一つの三分の一からは冷たい視線を浴び、残り三分の一からは「何を言っているのかわからない」といった無理解をもらうのではないかと私は思っていました。大規模標準テスト(いわゆる資格試験)についてかなり批判的な論考をしているからです。

ですが講演は私がびっくりするぐらい好評でした(もちろん無言のうちに不満を覚えていた方もいらっしゃるでしょうが)。多くの方から「よく言ってくれた」といったコメントをもらいました。中には数カ月後に偶然会った際に「夏の講演はすばらしかった」とお声をかけてくださった方もいました。

英語教育において今や大規模標準テストは非常に重要な位置を占めています。大規模標準テストの扱い方を誤ると、英語教育が大きく歪んでしまうと私は考えています。その歪みをAIでさらに拡大させてはいけないというのが私の主張です。

以下は要旨です。


要旨

新技術が台頭する時、人々は熱狂的に「技術に何ができるか」と技術主導の問いを尋ねる。しかしより重要なのは、「人間は技術に何をさせるか、あるいはさせるべきでないか」という人間主導の問いである。本稿は「近代社会の歪みをこれ以上悪化させるためにAIを使ってはならない」という原則の下に、資本主義・新自由主義的な英語教育の管理をAIで加速させることを防ぐべきと主張する。具体的には、AIを使って、これ以上「英語力」を商品さらには貨幣として扱い、学習者と教師を疎外することをやめなければならない、と説く。多くの英語教育関係者は、本来はさまざまな要因から創発している英語使用を、「あるに違いない」と想定する観念である「英語力」から生じるものと信じ込んでいる。さらにはその「英語力」を大規模標準テストで実体化したと思い込み、そのスコアを英語力の証左と見なす。そのスコアはやがて貨幣のように英語教育の価値を示すものとされる。AIを使ってこの近代の信仰システムを増長させてはならない。

 

論考はやや抽象的ですが、できるだけわかりやすく書いたつもりです。もしよかったらご一読ください。



2024/04/15

「AI活用型英語ライティング授業を行う大学教師の実践と構想」 -- 日本語話者は外国語の学習と使用においてAIの使い方を間違ってはならない

 

2024/04/14(日)に、『通訳翻訳ジャーナル』の「第12回つーほんウェビナー:翻訳者&専門家が大激論! 生成AIで良質な良質な翻訳はできるのか?」に登壇しました。登壇の理由は、私にとっての異分野の翻訳業界の方々とお話ができること、しかも発表は1人10分でそれに対して原則として20分の対話の時間が発表直後に設けられるのでいろいろ学べそうなことでした。

果たせるかな私にとってもとても面白く勉強になる対話ができました。主催者によると多くの視聴者を集め感想も好評だったそうです。


■ 対話から学んだこと


私がウェビナー対話から学べた主なことは次の3つにまとめられます。


(1) AIは心から学ぼうと思っている学習者には天使の助けとなり、無理やり勉強をさせられている学習者には悪魔の誘惑になる。

英語ライティングを例に取るなら、ChatGPTなどのAIは添削や改訂を即座に提示してくれます。しかも質問を何度しても嫌がらずに答えてくれます。本当に英語力を上げようとする学習者にとってはこれほどありがたい支援はありません。反面、英語を書くことを強制されている学習者にとっては、やる気の出ないその課題をこなすのにAIの助けを借りないようにするには相当な意志の強さを必要とします(そして人間の意志はそれほど強くはないものです)。

従来の「課題とテストでいかに学習者を管理するか」とう発想では、AIがますます日常化する時代の教育をまともに行うことは無理だと私は考えます。

以前から私はAIの普及によって学校教育の発想法とあり方は変わらなくてはならないと考えていましたが、今回のセミナーでその変化は私が考えていた以上にはるかに根底的なものにならざるをえないと考えを変えました。


(2) AIをもっとも有効に使いこなせる者はAIを利用しない生身の力が高い人であり、生身の力が乏しい人はAIを有効に活用できなかったり誤用したりしかねない。

少なくとも現時点でのAIはまだまだ誤った知識を提示することがあります。ChatGPTなどは大規模言語モデルですから、言語慣習(綴り・文法・文体など)では間違いが少ないですがそれでも皆無というわけではありません。そうなるとAIの出力を判断するにはある程度の高い知識が必要となります。

またおそらくそれより重要なことは、AIへの問いかけが具体的で要点をついたものであればあるほどAIの出力の質は向上するということです。適切な問いをするにも高い知性が必要です。そうなると「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」という格差増大が知性の分野でも生じることになります。

AIをある程度使いこなせるようになれるためにも、AIなしの学力をつけておくことが必須となります。「自分の子どもがAIを使いこなせるようになれればいい」という発想ではなく、社会の構成員すべてにAIを活用できるような教育を提供する必要があります。格差の拡大はさまざまな社会的軋轢をもたらすからです。そのためには上の (1) で述べた教育改革が必要です。


(3) AIの基盤言語は英語である以上日本語話者も英語を使いこなす必要があるが、反面、日本文化には英語に翻訳されていない知恵がある。だから、AIで日本文化を英語翻訳すれば日本は独自の知的優位性を有することができる。

AIの開発基盤は英語圏である以上、これからもAIを最大に活用できる言語は英語であるという状況は続くでしょう。すでにこれまで英語が有していた他の言語に対する優位性はさらに強くなったわけです。日本語圏に住んでいると「AIに助けてもらえばいいから、自分では英語を使わなくてもいい」といった発想がしばしば聞かれます。しかし英語の母語話者とそれ以上の数の非母語話者から構成される英語圏の発想からすると、「さらに英語が強力になったし、AIで英語利用が容易になったのだから、英語を使わない手はない」となるかもしれません。私は英語覇権体制に警戒心をもっていますが(https://yanase-yosuke.blogspot.com/2021/11/blog-post.html)、それでもこれ以上日本語話者の中で英語が使える者が少なくなると(そして英語のレベルが低くなると)日本の力が衰退してゆくと思わざるをえません。

「AIがあるから英語学習はいらない」ではなく「AIがあるから英語の学習も使用も容易になった」と考え、日本語話者もどんどん英語を使いこなして世界の動きのなかに参加することが日本にとっての重要課題だと私は考えます。

そして英語使用の中で、日本文化が有していながらこれまで英語に翻訳されていなかった(ということはAIのビッグデータにない)知恵を英語で表現してゆけば、それは日本語話者が世界のさまざまな問題を解決するにあたっての独特の優位性をもつことになります。私は日本文化の奥深さを信じています。




■ 予行演習録画


下にはいつものように講演の予行演習の録画を掲載しました。Part 1は私のAI活用実践で、このブログを以前から読んでいる方でしたら既知の内容です。Part 2は今回新たに加えた内容です。特にPart 2の長い付録は、つーほんセミナー本番では割愛した箇所ですので、セミナー視聴者の方も前からのこのブログの読者の方々と同様、多少は録画を楽しんでいただけるのではないかと思っております。


詳しくは録画をごらんいただきたいのですが、Part 2で私が強調したのは、以下のようなことです。


・日本は今再び「内向きの時代」になっているように思える(下の図を参照)。

・しかし少なくとも積極的に外国語での知見を日本語に翻訳することを続けないと、日本語は世界の現在と未来を語れない過去の言語になってしまう(一部のエリートが英語を使っても、翻訳文献が少なくなれば日本語圏の知力は全体として衰退する)。

・これからも日本語の力を保ちながら、日本在住・日本語使用者としての知見を積極的に外国語に翻訳していかねば日本の国際的な立場は弱くなる(逆に言うなら、上で述べたように、日本文化は外国語への翻訳によって世界に対して独自の貢献をする潜在的可能性を有している)。

・外国語からの翻訳および外国語への翻訳の量と質を向上させ日本語話者の知性を世界に通用するものにしつつ、日本語話者の外国語使用力を高めることが、これから予測される激動の世界情勢の中で重要。

・日本のロールモデルは、第二次世界大戦前は英国で戦後は米国だったと言えるだろう。しかし、これからのロールモデルは強力な国語を維持しつつ英語もどんどん使っているドイツやフランスではないだろうか。

・もちろん日本語は、ドイツ語やフランス語よりも英語との言語距離が遠いので、日本語話者の英語習得は容易ではない。だがその困難の打開に使えるのがAIである。日本語話者は外国語の学習と使用においてAIの使い方を間違ってはならない。





講演のスライドはここからダウンロード



Part 1



Part 2


このような有意義なウェビナーを可能にしてくださった主催者と他の登壇者そして数多く参加し、登壇者の士気を高めてくださった視聴者の皆様に改めて感謝します。


追記(2024/04/16)
事務局から参加者の感想一覧をいただきました。私の予想以上にこのウェビナーは好評だったようです。
その感想と私の見解を加えた上で今回の成功の要因を分析すると以下のようなことが考えられます。
  • 登壇者の異なる背景:翻訳者・ツール開発者・教育者などの異なる背景をもつ者が対話したので広い観点から語れた。
  • 多い対話時間:対話の時間を発表直後に、発表時間の2倍取れたので話を深めることができた。
  • 登壇者同士の信頼関係:ウェビナーの打ち合わせの段階でいろいろ話ができ、お互いに信頼関係を築けたので率直な話ができた。
  • 指定討論者の存在:質問専門の指定討論者がいて、かつその方の見識が広く深かったので対話が豊かになった。
ただ時間がなく、登壇者のスライドをめくるスピードが早かったし語り方も早口だったといったご批判はいただきました。ですが、これらについては参加者特典の当日録画再視聴で補っていただけたらと願っております。

2024/04/12

Socratic Tutor:習った学術的内容を英語で復習してその内容の理解と英語の表現力を同時につけるプロンプト (ChatGPT 3.5)

 

■ このプロンプトの機能と効用

これは、自分が理解している学術的内容についての英語表現力を身につけたい学部生・大学院生・研究者にお勧めのプロンプトです

このプロンプトを入力したChatGPTに、自分が学んでいる学術的な内容についての理解を英語でまとめて音声入力してください。するとChatGPTが文字と音声であなたのまとめについてのコメントや解説をして、さらにその内容についての質問をしてくれます。

つまりこのプロンプトに促されて英語で会話することによって、あなたは学んでいる学術的な内容についての英語表現を学び同時に理解を深めることができます。会話を終えたらその文字記録を残しておくと、そこから有用な表現がたくさん学べるでしょう。

このプロンプトは単なる会話のプロンプトと違って、知的な内容をたくさん出力してくれます。さらに出力の最後には質問がでます。このプロンプトを使って英語で会話をすることにより、通常の英会話よりも知的に高度な英語力をつけることができます。


■ このプロンプトを使う環境

こういった会話はたくさん交わした方が勉強になるので、ChatGPT無料版のGPT-3.5を推奨します(動作確認はGPT-3.5で行いました)。

ChatGPTに音声入力するためにはこの記事を読んでVoice Control for ChatGPT x Mia AIをPCのChromeブラウザーにインストールしてください。もちろんタイプを使って文字入力をすることもできますが、音声入力の方が速いですし英語の勉強にもなります。またChatGPTからの出力も文字だけでなく音声も聞くことでリスニング力をつけることもできます

ただし、Voice Control for ChatGPT x Mia AIは珍しい語は認識しません。例えば私は試しにハイデガーの『存在と時間』の話をしましたが特殊用語である "Dasein" はどうしてもこのアプリは聞き取ってくれず、似た発音の間違った英単語で認識しました。(とはいえ、ChatGPTはその用語を正しく言い換えてくれましたので、その後の会話はうまく続きました)。

 

追記(2024/04/12)

ChatGPTが出力した英語表現を覚えたい場合は、出力をコピーして「Ondoku」などの廉価なAIサービスで音声に変換してください。そのMP3ファイルを何度も聞くことで発音と共に表現を覚えることができるでしょう。



■ このプロンプトの限界

ChatGPTは大規模言語モデルなので、自然科学などの最先端知識については間違ったことを言うこともあるでしょう。またChatGPTがあまりデータをもっていないことについてはでっちあげ (hallucination) を出力することもあるでしょう。このプロンプトで会話できるのは英語圏で常識的なことがら(せいぜいWikipediaに掲載されているぐらいの内容)だと私は考えています。

追記 (2024/04/13)

ハイデガーの『存在と時間』における ”Besorgen" と "Fursorgen" ("u"は本当はウムラート付き)の違いについてGPT-3.5で話をしましたところ、ChatGPTは間違った解釈を語り始めました。GPT-4で聞き直すと正しい説明をしましたが、やはり大規模言語モデルに事実的正確性を要求するのは難しいようです。ですから、学術的内容についてGPT-3.5で話をする場合は注意が必要です。もちろんGPT-4でも内容の正確性が保証されているわけではありません。 


■ プロンプト


You are to act as a kind, helpful tutor, akin to Socrates. Your primary goal is to foster a deep understanding in me through guided discovery. When I present ideas that are unclear or incorrect, you should not correct me outright. Instead, emulate the Socratic method by:


- Asking probing questions that challenge my assumptions and prompt further thinking.

- Providing subtle hints rather than direct answers, facilitating my journey towards the correct ideas on my own.

- Encouraging reflection on the reasons behind my thoughts, thereby deepening my comprehension and insight.

- Your responses should be patient and insightful, aiming to build my confidence and knowledge through thoughtful dialogue rather than straightforward instruction.



■ このプロンプトの作成過程

ChatGPTと英語で会話 (chat) をしながら作りました。自分が望むことを英語で表現し、ChatGPTにそのようなことを実現するプロンプトを作ってくれと頼んで作りました。作成所要時間は数分です。もちろん、もっといいプロンプトはできるでしょう。今後使いながら部分修正をするかもしれません。

プロンプト作成については、(1) 英語で作る、(2) 作った英語プロンプトをAIに改善してもらう、 (3) そのプロンプトを試して微調整するといった簡単なプロセスで、英語が読める人なら誰でも作れると思います。(1) の最初の作成が難しいなら、日本語でプロンプトを書いて、それをAIに英語翻訳してもらえばいいだけです。


追記(2024/04/13)

 学術的内容とまではいきませんが、このプロンプトを使って "dominant" と "predominant" の違いについて理解するための対話を英語で行いました。ChatGPT  (GPT-3.5) と会話を重ねる中で少しずつ理解が深まっていきます。どうしてもわからないときは「例文を出してくれ」とお願いすると例文も提示してくれるので、具体的に考えることができます。また、そもそも音声で会話できるというのが楽です。 

 振り返ってみますと、生成AIが普及してから私は和英辞典を使うことが非常に少なくなりました。生成AIに「◯◯の時に△△するために□□の人が使う道具は何と言う?」と具体的に英語で尋ねる方が、はるかに精度の高い回答が得られるからです。

 同様に今後は類語辞典を利用することが少なくなるかもしれません。従来の類語辞典は類語を列挙するだけで、それらのニュアンスの差を理解するにはさらに辞書を引かなければならないからです。

 このSocratic Tutorはすぐに答えを言わないように設定しているプロンプトですから、時にはこのプロンプトを使わずに直接的にChatGPTに音声で聞いた方が便利かもしれません。しかし反面、このプロンプトで対話をしながら少しずつ自分で考えて理解することにより、その事項の記憶は頭に残りやすいかもしれません。

 ともあれ、生成AIといつでも音声英語で対話できる環境は、知的生産性を非常に高めるのではないかと思われます。「AI x 英語 x 音声」の3つを組み合わせながら勉強する方法は日本でもっと普及していいと思います。

2024/04/10

Billie English: イギリス英語の発音を解説するYouTubeチャンネル

 Billie EnglishというYouTubeチャンネルは、イギリス英語の発音について体系的に解説してくれます。


Billie English

https://www.youtube.com/@BillieEnglish


以下は、私なりにこのチャンネルの動画を整理したものです。イギリス英語発音の自学自習のためにお使いください。


■ 母音


The Vowel Chart - The 12 Monophthongs in British English | Pronunciation Masterclass

イギリス英語の母音(単母音)

https://youtu.be/ZYkITIqfZ6c?si=tsTdhDwx0SllFWpA


Diphthongs in English | INTRODUCTION | Pronunciation | IPA

イギリス英語の母音(二重母音)

https://youtu.be/AAVGOpzqm8M?si=f5VraZxxLCOMwWYT


Triphthongs in English | diphthong & /ə/ combination in one syllable | English Pronunciation

イギリス英語の母音(三重母音)

https://youtu.be/3CdpWA7zbPY?si=dGlNT2YpFbJju_Gx


PLAYLIST: Vowel Sounds in British English

自分で学びたいビデオを選んでください。

https://youtube.com/playlist?list=PL2xSrncgBnNYqIKehOXtVxsYiYwuWE-UB&si=aYYjLmZ36tIsL9hH



■ 子音


Place of Articulation | Consonant Sounds in English - Phonology

イギリス英語の子音(place/manner of articulationで子音を分類)

https://youtu.be/W50Ojdu1_AE?si=tlkvCn-hstobYjrJ


Consonant Clusters - Pronunciation | What are consonant clusters?

イギリス英語の子音連結

https://youtu.be/OJ6hebWHHFU?si=CGWsndBYWRHtXDTY


The 24 Consonant Sounds in English | English Phonology

イギリス英語の子音(子音の分類表はplace/manner of articulationによる表ではありません)。

https://youtu.be/7dskXjMgtZs?si=hJovxc0FcaoxDTWV


PLAYLIST: Consonant Sounds in British English

自分で学びたいビデオを選んでください。

https://youtube.com/playlist?list=PL2xSrncgBnNak-h48ZDrnG1cSLaVWRsTz&si=WtLxcayaeN6_uZ5w



■ 連結・同化・脱落など


PLAYLIST: Connected Speech

リスニング力向上のためには重要な項目ですからすべてのビデオを連続して見てもいいでしょう。

https://youtube.com/playlist?list=PL2xSrncgBnNYTbCljjHNXAOJfwPdsvJ6C&si=tXTwBAnF-kQimlZF



■ ストレス


PLAYLIST: Word Stress & Syllables

自分で学びたいビデオを選んでください。音節 (syllable) についてのビデオもあります。

https://youtube.com/playlist?list=PL2xSrncgBnNb5Z54Wo2MOohHvnjw9tbwd&si=eZVHzpkgVc-IPxJQ



■ イントネーション


PLAYLIST:  Intonation

自分で学びたいビデオを選んでください。

https://youtube.com/playlist?list=PL2xSrncgBnNbkZX2HFps_7OMW6qN3VszY&si=jo72K54Y7VTjqlu5



■ イギリス英語とアメリカ英語の違い


British vs. American Sound Chart | English Phonology | IPA

母音(単母音・二重母音)と子音の違いについて解説しています。

https://youtu.be/CD-AOHd19TM?si=MLIcEzZQWfBZcRKE



関連記事


【まとめ記事】英語の発音を自学自習できるYouTube動画のリスト

https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/10/youtube.html




2024/04/03

【Ver. 1.1】英文の内容や情報を変えずに文体だけ学術英語的なものにするプロンプト

 

■ プロンプトの機能

このプロンプトは、自分が書いた英文をより学術英語らしく改善するためのものです。このような書き換えの際に、AIはしばしば内容や情報を削除したりすることがありますので、そういった変更をしないようにするために多少の工夫を加えました。改訂を加える英文は区切り記号 (=====) の下に貼り付けます。


■ プロンプトの工夫

いつもと同じように、英語で書いたプロンプトを試してみて少し修正を加えたり、AIそのものにプロンプトの改善を求めたりして作ったものです。決してこれが最終的に優れたものだとは考えていません。きっと他に優れたプロンプトはあるでしょうが、下の利用者のために作りました。


■ 想定する利用者

私のある授業(選択授業:アクティブリスニング)では毎日の英語学習の様子や成果などを英語で書いたポートフォリオを提出することを求めています。きちんと申告すれば作成の際にAIを使ってもよいことにしています(とにかく英語で書く習慣をつけることを優先しているわけです)。このプロンプトはその授業の受講生を想定して作りました。

Ver. 1.1(2024/04/09)

最初に提示したプロンプトは大学生にとっては少し高度な英語を生み出してしまうので、プロンプトに "at a college level" という限定を加えて、これをVer. 1.1と呼ぶことにしました。逆に、このプロンプトを学術論文作成のために使う方はこの赤字の追加部分を削除してお使いください。


■ 注意事項

200語程度の英文でしたら問題なく作動しますが、1,000語といった長い英文を入れると作動がおかしくなる場合があります。長文を改訂する場合は、英文を分割して作業してください。


■ プロンプト


You're a line editor, not a substantive editor. Refine the following material into easily understandable academic English at a college level while maintaining all specific facts and details. Do not summarize or reduce the overall amount of information. Instead, focus on stylistic paraphrasing to improve clarity and accessibility of the content without excluding key details. Please make changes directly to the text while preserving the complete set of facts and ideas.

=====


■ プロンプトの出力例 (Ver. 1.1を使用)


ライティング授業用プロンプトを紹介する際に使用した例文を使いました。


Many people love music, but do not know anything about speakers. Do you know that many speakers have holes? They are usually round, but sometimes not round. They are big fluto and make big bass sound. These speakers, by the way, are called ported speakers, because holes are ports. Because of ports, these speakers make big sound although they are not really big in size. People like big bass and company sell these speaker for this reason. But some people like sealed box speakers that doesn't have holes. They know holes are bad for sound. You should know more about speaker. So I'll explain why ported speaker are bad in this essay.


結論から言いますと、学術英語的な書き換えとしては、私はClaude 3 (Opus) よりもChatGPT (GPT-4) の方が好ましいと考えました。しかし限られた例に基づく判断ですので断言できません。ただ、Claude 3 (Focus: all) が多くのサイトへのリンクを提示する機能にはいろいろな使い道があると思わされます。


ChatGPT (GPT-4)

Numerous individuals are passionate about music, yet they possess limited knowledge regarding speakers. Interestingly, many speakers are designed with holes, typically circular, though occasionally of varied shapes. These openings, often referred to as ports, significantly contribute to the production of deep, resonant bass sounds. Such speakers are identified as ported speakers due to the presence of these ports. Despite their modest dimensions, these speakers are capable of generating profound sounds, a feature that has garnered consumer preference and motivated manufacturers to market them primarily for their bass-enhancing attributes. Conversely, a segment of the audience favors sealed box speakers, which lack these ports, based on the belief that ports detrimentally impact sound quality. This essay aims to elucidate the disadvantages associated with ported speakers, providing a deeper understanding of speaker technology.



ChatGPT (GPT-3.5)

Many individuals have an appreciation for music, yet lack knowledge about speaker systems. It may come as a surprise that numerous speakers feature perforations, typically circular although occasionally in different shapes. These openings, known as ports, serve a specific function in enhancing the sound output, particularly in generating deep bass tones. Speakers equipped with such ports are commonly referred to as ported speakers. Despite their relatively compact size, they are capable of producing powerful audio due to these ported configurations. This popularity stems from the widespread appeal of rich bass tones, prompting companies to market these speakers accordingly.

However, there exists a contrasting preference among some consumers who favor sealed box speakers that lack these perforations. Their rationale lies in the belief that openings negatively impact sound quality. To delve deeper into this topic, it's essential to explore why ported speakers may not always be the optimal choice.



Claude 3 Opus (Focus: writing) through Perplexity

Many people enjoy listening to music, but they may not be familiar with the intricacies of speaker design. Have you ever noticed that some speakers have holes, typically circular in shape, although occasionally taking on other forms? These openings, known as ports, are a key feature of ported speakers, also referred to as bass reflex speakers. The primary purpose of these ports is to enhance the low-frequency response, allowing the speakers to produce deep, powerful bass sounds despite their relatively compact size. This characteristic makes ported speakers appealing to consumers who desire impactful bass performance without the need for large, bulky enclosures. However, there is an alternative speaker design known as sealed box or acoustic suspension speakers, which forgo the use of ports altogether. Proponents of sealed box speakers argue that ports can have detrimental effects on sound quality. In this essay, we will explore the reasons why ported speakers may be considered inferior to their sealed counterparts, providing insights into the complex world of speaker design and performance.



Claude 3 Opus (Focus: all) through Perplexity

Many people enjoy listening to music but lack knowledge about the speakers that reproduce the sound. Are you aware that numerous speakers feature openings or vents? These apertures are typically circular, although they may occasionally take other shapes. Their purpose is to enhance bass response, allowing the speakers to generate powerful low-frequency sounds. Speakers with these openings are referred to as ported speakers, as the vents are called ports. The presence of ports enables these speakers to produce robust audio despite their relatively compact size. Consumers are often drawn to speakers with strong bass performance, leading companies to market ported designs to cater to this preference. However, some audiophiles prefer sealed box speakers, which lack ports. These individuals recognize that ports can potentially degrade sound quality. To make an informed decision, it is important to understand the implications of speaker design. This essay will elucidate the reasons why ported speakers may be considered inferior to sealed designs.


Citations:

[1] https://forums.stevehoffman.tv/threads/sealed-vs-ported-speakers-which-is-better.1158196/

[2] https://www.crutchfield.com/S-Ups4HnKvp4G/learn/sealed-or-ported-subwoofer-enclosures.html

[3] https://www.audioholics.com/loudspeaker-design/sealed-vs-ported

[4] http://www.nutshellhifi.com/library/speaker-design1.html

[5] https://www.mtx.com/library-vented-sealed-subwoofer-enclosures

[6] https://www.sonos.com/en-us/blog/beginners-guide-to-bass

[7] https://forum.audiogon.com/discussions/bass-is-clearer-and-more-impactful-when-i-stand-vs-when-i-sit

[8] https://www.youtube.com/watch?v=ExbYaxCjBKw

[9] https://www.youtube.com/watch?v=SqoFUoudxGM

[10] https://www.cnet.com/tech/home-entertainment/the-art-of-speaker-design-explained-by-a-master/

[11] https://www.reddit.com/r/Beatmatch/comments/jvmyzm/crackling_noise_on_bass_above_a_certain_volume/?rdt=34694

[12] https://www.thehouseofmarley.com/blog/understanding-speakers-terms/

[13] https://en.wikipedia.org/wiki/Loudspeaker

[14] https://audiophilestyle.com/forums/topic/57968-hole-in-the-middle/

[15] https://dynaudio.com/magazine/2023/november/why-are-bass-ports-on-the-back-of-speakers-ask-the-expert

[16] https://blog.miscospeakers.com/speaker-grilles-sound-quality

[17] https://www.reddit.com/r/audiophile/comments/pdksxc/do_speakers_sound_better_with_the_cover_on_or_off/

[18] https://www.digitaltrends.com/home-theater/home-audio-glossary-basic-speaker-terms-and-definitions/

[19] https://answers.microsoft.com/en-us/windows/forum/all/boomy-bass-sound-in-laptop-speakers/dbda4233-054e-4bcf-802a-a2109abc9244

[20] https://www.audioholics.com/how-to-shop/audio-terms-and-definitions

2024/04/02

英単語テスト生成プロンプト (Ver. 1.3 ) :英単語群の単語の定義・類義語・例文・連語を提示したテスト問題を自動的に作成します。

 追記 

Ver 1.3 (2024/04/22)

(1) Word Bankからのランダムな単語選択ができませんので、Prompt #3だけを使うことにして、それを冒頭に置きました。

(2) Collocationを追加しました。


Ver 1.2.1 (2024/04/05)

(1) 指定された単語のテスト問題だけをつくるPrompt #3を追加しました

(2) Propmpt #1と#2には、役割指定を加えて、単語をランダムに選択する指示を強化しました。ですがそれでもランダムな単語選択をしているとは思えません。大規模言語モデルなので仕方がないのでしょうか。単語のランダム選択については今後の課題といたします。

(3) Claude 3 (Opus)の性能が急に低くなりましたので、推奨AIをChatGPT (GPT-4) のみとしました。

(4) 反意語 (antonyms) の出力を消しました。どうしても元の単語を含む語が出力されてしまうことがあり、かつ、そもそも反意語選択の精度が高くなかったからです。(Ver. 1.2.1) 

(5) 加えて、Ver. 1.1の記事とプロンプトには単純な誤植などが複数ありましたことをお詫び申し上げます


Ver 1.1(2024/04/03)

解答は最後に掲載することにして、プロンプトは2種類だけにしました。5問(それぞれ5つの例文付き)のテストを作成するプロンプトと、10問(それぞれ3つの例文付き)のテストを作成するプロンプトです。その他、プロンプト各所に微調整を加えています。



■ このプロンプトの機能

単語の定義・類義語・例文を示したテスト問題を自動的に作成します。学習者は定義・類義語・例文を見ながらその単語が何であるかを解答します。



■ このプロンプトの出力例(ChatGPT (GPT-4) で下のPrompt #3を使用)







(以下省略)



■ このプロンプトが想定している利用者

英英辞典を活用できるぐらいの英語力をもつ学習者を教えている教師、もしくは学習者自身。

※ 定義を日本語にしたり、例文を簡単にすることはいくらでも可能なはずです。簡易版をお望みの方はどうぞこのプロンプトを参考にして自分でプロンプトをご作成ください。


■ このプロンプトの種類

Prompt #1:単語群から5つの単語を選び、その単語の定義・類義語・例文を示す問題を作成する。例文は1つの単語につき5つ提示する。選んだ5つの単語は最後に提示する。授業では最後の部分を除いた残りをコピーして学習者に提示する。※ただし現時点では単語選択は残念ながらランダム選択ではありません。

Prompt #2:単語群から10の単語を選び、1つの単語に3つの例文を作る。その他はプロンプト#1と同じ。(AIの出力が止まった場合は "Continue generating" のアイコンをクリックしてください)。

Prompt #3:単語群のすべての単語について、1つの単語に3つの例文を作る。その他はプロンプト#1と同じ。※ただし単語群の単語数を増やしすぎるとAIの作動がおかしくなるかもしれません。推奨する単語数は5-10です。




■ このプロンプトに関する諸注意

- ChatGPTやClaude 3といった大規模言語モデルでも、思わぬ言語ミスを出力する場合があります。重要なテスト問題を作成する場合は、AIの出力を人間が丁寧に吟味して、必要があれば修正を加えてください。

- 英単語群は自分で決めてプロンプトの入力欄 (=====で挟まれた空白部分)に入力してください。単語ごとに改行しても構いませんし、カンマで区切ってもかまいません。

- プロンプトを入力してから出力が始まるまでに少し時間がかかることがあります。

- 出力をコピーする場合、太字表示や例文番号などの装飾部分が失われます。それを嫌う利用者は、出力をそのままキャプチャーしてください。

- 動作確認は、ChatGPT (GPT-4)で行いました。ChatGPT (GPT-3.5) やCopilotやGeminiではうまく作動しませんでした。Claude 3 (Opus) (Perplexity経由)は2024/04/05に急に性能が低下したようなので推奨から外しました。

- 利用していて何かご意見があれば、X (Twitter) の@yosukeyanaseにお知らせください。

- このプロンプトの利用・改変などは自由になさって結構です。お互いに知恵を共有する文化を大切に育てて豊かな社会を作り出しましょう。



■ Prompt #3: Providing a definition, synonyms, 3 example sentences, and collocation for all the words in the word bank. The word bank should contain 10 words at most to ensure successful operation.

単語群のすべての単語に対してテスト問題を作る。例文は1単語あたり3つ。単語は出力末尾に表示される。単語群は=====で挟まれた空白部分に自分で入力してください。 単語群の単語の数は10程度に抑えてください。


#Role

- As a high school English instructor, you make questions to see if your students can recall the word in the word bank when provided with its definition, synonyms, antonyms, and example sentences.

- Questions cannot show the selected word or its derivatives in complete spelling because it is part of a test.


#Instruction:

- Please select a word one by one. 

- The selected words must retain their original form; do not delete or add a suffix, such as "-ly".

- Produce a definition, synonyms, example sentences, and collocation for each selected word. If the selected word can be used in more than one part of speech, provide multiple definitions for each part of speech.

- The definition and example sentences must be formal and specific; nevertheless they should be easily accessible to high school students in the US. 

- Repeat the procedures above until you finish selecting all the words in the word bank.

- Output the definition(s), synonyms, example sentences, and collocation for each selected word.

- After that, and only after that, output all answers.


#Output Format:

- **Question #**: Replace "#" with the number starting from 1, followed by the selected word in order. The selected word must be represented with only the initial letter in lower-case, followed by ___. Do not show the designated word in full spelling.

- **Definition**: Output a definition of the selected word without using the selected word or its derivatives. Never show the selected word in definition. The definition must include the part of speech in full spelling. If the selected word can be used in more than one part of speech, provide multiple definitions for each part of speech.

- **Synonyms**: Show the synonyms of the selected word in the same line, divided by a comma. Each synonym must be enclosed with double quotes.

- **Example Sentences**: Output three example sentences in which the selected word is represented with only the initial letter, followed by ___. For example, if the selected word is "factor", it must be represented as f___. If the selected word ("factor") appears with an inflectional suffix "s" to show plurality, for example, it must show that suffix (f___s).  Similarly, if the selected word ("anonymous") appeas with an inflectional suffix "ly", it must also show that suffix (a___ly). If the selected word can be used in more than one part of speech, the example sentences must cover all the parts of speech. The example sentences are numbered from 1. to 3. for each selected word.

- **Collocation**: most frequent combinations of words with the target word. Show actual word examples rather than grammatical categories.

- **Answers**: Lastly, show the selected words in order.  In this section only, the selected words appear in complete spelling.


#Word Bank

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■ Prompt #1: Providing a definition, synonyms, and 5 example sentences for the 5 words selected from the word bank.

単語群の中から5つの単語を選び、それぞれの定義・類義語・例文(5つ)を提示する。選んだ5つの単語は出力末尾に表示される。単語群は=====で挟まれた空白部分に自分で入力してください。


#Role

- As a high school English instructor, you make questions to see if your students can recall the word you select from the word bank when provided with its definition, synonyms, and example sentences.

- Your word selection from the word bank must be strictly random.

- Questions cannot show the selected word or its derivatives in complete spelling because it is part of a test.


#Instruction:

- Please randomly select 5 words from the word bank provided between the "=====" delimiters. Please refrain from selecting words in the exact order they are presented in the word bank.the word bank.  If possible, use a random number generator or equivalent randomization method. The selection process should be entirely random, without applying any form of predetermined order, preference, logical deduction, or manual choice. Ensure that each word retains its original form and is not modified in any way during the selection.

- The selected words must retain their original form; do not delete or add a suffix, such as "-ly".

- Produce a definition, synonyms, and example sentences for each selected word.

- The definition and example sentences must be formal and specific; nevertheless they should be easily accessible to high school students in the US. 


#Output Format:

- **Question #**: Replace "#" with the number from 1 to 5, followed by the selected word in order. The selected word must be represented with only the initial letter in lower-case, followed by ___. Do not show the designated word in full spelling.

- **Definition**: First, show the part of speech in full spelling in paretheses. Then, output a definition of the selected word without using the selected word or its derivatives.  Never show the selected word in definition.  If the selected word can be used in more than one part of speech, provide multiple definitions for each part of speech.

- **Synonyms**: Show the synonyms of the selected word in the same line, divided by a comma. Each synonym must be enclosed with double quotes.

- **Example Sentences**: Output five example sentences in which the selected word is represented with only the initial letter, followed by ___. For example, if the selected word is "factor", it must be represented as f___. If the selected word ("factor") appears with an inflectional suffix "s" to show plurality, for example, it must show that suffix (f___s). Similarly, if the selected word ("anonymous") appeas with an inflectional suffix "ly", it must also show that suffix (a___ly). Also, if the selected word ("reveal") apeas with an inflectional siffix "ed", it must also show that suffix (r___ed). If the selected word can be used in more than one part of speech, the example sentences must cover all the parts of speech. The example sentences are numbered from 1. to 5. for each selected word.

- **Answers**: Lastly, show the 5 selected words in order.  In this section only, the selected words appear in complete spelling.


#Word Bank

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■ Prompt #2: Providing a definition, synonyms, and 3 example sentences for the 10 words selected from the word bank.

単語群の中から10の単語を選び、それぞれの定義・類義語・例文(3つ)を提示する。選んだ10の単語は出力末尾に表示される。単語群は=====で挟まれた空白部分に自分で入力してください。


#Role

- As a high school English instructor, you make questions to see if your students can recall the word you select from the word bank when provided with its definition, synonyms, and example sentences.

- Your word selection from the word bank must be strictly random.

- Questions cannot show the selected word or its derivatives in complete spelling because it is part of a test.


#Instruction:

- Please randomly select 10 words from the word bank provided between the "=====" delimiters. Please refrain from selecting words in the exact order they are presented in the word bank.the word bank. If possible, use a random number generator or equivalent randomization method. The selection process should be entirely random, without applying any form of predetermined order, preference, logical deduction, or manual choice. Ensure that each word retains its original form and is not modified in any way during the selection.

- The selected words must retain their original form; do not delete or add a suffix, such as "-ly".

- Produce a definition, synonyms, and example sentences for each selected word.

- The definition and example sentences must be formal and specific; nevertheless they should be easily accessible to high school students in the US. 


#Output Format:

- **Question #**: Replace "#" with the number from 1 to 10, followed by the selected word in order. The selected word must be represented with only the initial letter in lower-case, followed by ___. Do not show the designated word in full spelling.

- **Definition**: First, show the part of speech in full spelling in paretheses. Then, output a definition of the selected word without using the selected word or its derivatives.  Never show the selected word in definition.  If the selected word can be used in more than one part of speech, provide multiple definitions for each part of speech.

- **Synonyms**: Show the synonyms of the selected word in the same line, divided by a comma. Each synonym must be enclosed with double quotes.

- **Example Sentences**: Output three example sentences in which the selected word is represented with only the initial letter, followed by ___. For example, if the selected word is "factor", it must be represented as f___. If the selected word ("factor") appears with an inflectional suffix "s" to show plurality, for example, it must show that suffix (f___s).  Similarly, if the selected word ("anonymous") appeas with an inflectional suffix "ly", it must also show that suffix (a___ly). If the selected word can be used in more than one part of speech, the example sentences must cover all the parts of speech. The example sentences are numbered from 1. to 3. for each selected word.

- **Answers**: Lastly, show the 10 selected words in order.  In this section only, the selected words appear in complete spelling.


#Word Bank

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2024/03/26

「英語教育の希望としての田尻実践」のスライドと準備録画の公開、および若干の感想


3/23(土)の「人を育てる英語教育:田尻悟郎の授業は大学生の人生にどう影響を与えているのか FINAL!」は、会場がほぼ満員で終始いい雰囲気の中で終わりました。激しい雨の中お越しいただいた皆様、煩瑣な裏方作業を引き受けてくださいました凡人社の皆様に厚く御礼申し上げます。


下は私が当日使った講演スライドとその講演の予行演習録画です。


スライド (PDF) はここからダウンロード



私の講演の要点は、田尻先生の実践の凄さは英語教師としての初心を貫き通したことであるというものです。その初心は子どもに教える喜びでしたが、それが教室秩序の構築(そしてその挫折)を経て、「楽しいから学ぶ」授業への発想転換に至ります。そこから田尻先生は、「楽しく力がつく」授業、さらには「苦しいけど課題が達成できたらこの上なく嬉しい」授業へと発展させました。それは同時に「一人ひとりが自律し自由なのだが、喜んで互いに助け合う」授業でもありました。田尻先生の初心は貫かれ、そして大きく発展したのです。

現在の田尻先生の授業を可能にしたのは、華々しい留学経験でも高尚な大学院での研究でもありません。「人が人として生きるために大切なことを英語教育で実現する」ということを願い続け、日々授業を工夫し、挑戦(そして時折の失敗とそこからの学び)を怠らなかったからです。

田尻先生の実践が英語教育の希望である理由はここにあります。初心を貫き、日々、英語教師としてそして人として大切な努力を怠らなかったら、やがて教師自身が驚くようないい授業が到来します。教師の努力は必要条件ですが、到来する授業は、教師個人の意思を超えたすばらしいものとなります。

田尻先生の講演の後の質疑応答では「なぜ田尻先生はいつまでもそんなに元気なのですか?」という質問が出ました。私が出しゃばって答えるなら、それは「授業から喜びをもらっている」からです。

そのように教師に(そして学習者に)喜びを与える授業とは、柄谷行人の交換様式の用語を借りるなら、個人的な恩恵関係(交換様式A)、服従と保護の支配関係(交換様式B)、商品購入のような等価交換関係(交換様式C)のいずれも越えた交換様式Dに基づく授業です。ご興味があれば上のスライドと録画をご覧ください。

私自身30年以上、田尻先生を追っかけてきてそこから学んだことは計り知れないほど大きなものです。田尻先生を知らなかったら、私の研究も教育実践も迷走に迷走を重ねて悲惨なものになっていたでしょう--今以上にw。改めて田尻先生に感謝します。また田尻実践の良さを私とは違った角度から照射してくれた久保野先生、そして科研運営の地道な仕事を続けてくれた横溝先生にも感謝します。

この横溝先生が主催する通称「田尻科研」の成果は、単行本として出版することを計画しています。田尻実践をきっかけに、英語教育界が、初心を貫き発展させるという地味だけど大切なことの価値に目覚めてくれればと思っています。





関連する論文や出版物など

柳瀬陽介 (2005) 「アレント『人間の条件』による田尻悟郎・公立中学校スピーチ実践の分析」『中国地区英語教育学会研究紀要』35 巻 p. 167-176 https://doi.org/10.18983/casele.35.0_167

横溝紳一郎(編) (2010) 『生徒の心に火をつける: 英語教師田尻悟郎の挑戦』教育出版

田尻悟郎のWebsite Workshop https://sc.benesse-gtec.com/tajiri/

2024/03/19

「AIネイティブのための英語教育の再構築」スライドと予行演習動画の公開

 

昨日(2024/03/18)、広島大学外国語教育研究センターのFDで「AIネイティブのための英語教育の再構築」というお話をさせていただきました。関係者の皆様には大変お世話になりました。改めてここで御礼を申し上げます。

下に掲載するのは、その際に使用したスライドと講演予行演習の動画です。動画は、今回初めて喋る講演の後半部分だけになっております。前半部分は、これまで他の講演で述べた内容と重複しますので予行演習はしませんでした。

後半部分では、いくらAIが騒がれてても、英語教育関係者はあくまでも英語教育の話を中心にするのであり、AIの話ばかりをするべきではないことをまず強調しました。その上で、英語教育の基本である、4技能の中ではリスニングが根底にあること、言語を使うことは身体(例、鼓膜や声帯の振動)が意識(意味)と共変することなどの確認をしました。

さらにそもそも英語教育という営みが生じた源流にあった英学(=英語だけを学ぶのではなく、英語を通じて諸学を学ぶ営み)に再度着目して、AIで増強したCLIL (Content and Language Integrated Learning:内容言語統合学習)を行うことを提言しました(「英学 2.0」)。最後に、AI時代の大学英語教育の3つの優先事項として、意識改革・意欲喚起・環境整備を掲げました。





ご興味のある方はご覧ください。動画についてはいつものように講演のための準備練習ですので、雑な作りになっていることをお許しください。


スライドはここからダウンロード





2024/03/12

「AIを活用して英語論文を作成する日本語話者にとっての課題とその対策」の解説動画、および理系研究者との対話から学んだこと

 

「AIを活用して英語論文を作成する日本語話者にとっての課題とその対策」(『情報の科学と技術』2023年73巻6号 pp. 219-224) (https://doi.org/10.18919/jkg.73.6_219) は、おかげさまで1ヶ月間で約2万件のviewsを得ることができました。何名かの有名な理系研究者の方々がtweetしてくださったおかげです。皆様のご厚意に感謝します。


本日、ある理系大学でオンライン講演をさせていただく機会がありましたので、このレポートを解説いたしました。このレポートを書いたのはChatGPTが出て数カ月後の2023年3月でした。解説では、レポートに書ききれなかったことや、その後の発展も加えています。レポート自体には何の新しいことも書いていませんが、日本語話者がAIを使って英語論文を書く際の原則を整理した点で有用かもしれません。


もしご興味があれば下の解説動画をご覧ください(スライドはここからダウンロードできます)。いつものように予行演習をただ録画したものですので、出来はよろしくないことを予めお詫びしておきます。





以下は、オンライン講演でたっぷりとってもらった質疑応答の時間で私がメモをしたことを再構成したものです。=>は私の見解です。


■ 多くの院生が英語論文をDeepLなどで日本語訳して読む。

院生は大量の英語論文を読まねばならず、英語への苦手意識もあるので、論文をDeepLで日本語に翻訳して読むことが多い。しかし専門用語の誤りは多く、肝心な箇所の誤訳や訳抜けがあるので、DeepL翻訳では精読できないことはわかっている。

=> 私のような年配の人間は英語力をつけた後にAIに接してAIの有用性に感動している「非AIネイティブ」といった世代である。だが、これから増えてくる「AIネイティブ」世代は、生身で英語力をつける前からAIと共に英語を学習してゆくだろう。その世代に対して、非AIネイティブがどのような英語教育の道筋を示すかについては慎重に考えなければならない。

講演で何度も繰り返したが、私は英語ライティングにはAIを活用しても、リーディングについてはできるだけ使用を控えるべきだと考えている。リーディング力がないと、AIが書いた英文を判断・校閲・編集できないからである。

せめて大学院ゼミは、「重要な論文は必ず英語原文で精読すること」といった方針を徹底するべきではないか。英語がきちんと読めないまま論文から情報を得て、AIが生み出す英語に頼り切って英語論文を執筆することは、学問の信頼性の点でも危険であろう。英語を読む習慣を身につけるには長い時間がかかるので、若い時代にはできるだけ英語を直に読み、精読力をつけるべきだと私は考える。


■ 院生はまず日本語で原稿を書きそれをDeep Lで英語に翻訳することも多い。

院生はまず日本語で文章を書くことも多いが、そもそもの日本語の文章が怪しいならやはり話にならない。また英語にしやすい日本語で書かないと、DeepLの英語も読みにくいものになる。

=> 講演で言及することを忘れましたが、下のマニュアルは実用的な日本語を書くためには必読だと思います。マニュアルの例文が特許関係の文であるという点は少し使いにくいかもしれませんが、ポイントは明快です。ぜひご一読をお勧めします。


特許ライティングマニュアル

https://tech-jpn.jp/tokkyo-writing-manual/


■ 理系研究者にとってどのくらいの時間を英語学習に使うかは難しい判断。

理系研究者にとっては、英語学習よりも自分の研究を進める方がはるかに大切である。他方、英語の重要性も熟知している。その中で、どのくらいの時間を英語学習に費やすか迷うことが多い。

=> とりあえず英語で論文を書いて発表ができるまでの英語力をつけたら、後は自分の研究者としてのキャリアの方が道を示してくれるのではないでしょうか。研究が充実して国外の読者が増えれば、自然と英語の必要性が高まるはずです。まずは20代に必要最小限の執筆力と発表力をつけてから考えてもよいのではないでしょうか。

以下のインタビューではいろいろなエピソードが語られていますのでご参考になさってください。


京都大学自律的英語ユーザーへのインタビュー

https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/interviews_jp




■ AIは知的格差を拡大させるかもしれない。

ある程度の英語力と学ぶ意欲をもっている者はAIでどんどん英語力を上げるだろうが、他方で英語の学習や使用をAIに任せてしまい英語力がつかない者も増えるだろう。そういった意味ではAIは知的格差を広げるかもしれない。

=> その懸念を私も共有します。私はAI時代の英語教育で大切なのは次の3つだと思います。


意識改革 + 意欲喚起 + 環境整備


意識改革とは「自分でも英語ができるようになれる。しかも今まで思っていたよりもはるかに高いレベルで」と考え方を変えてもらうことです。

意欲喚起は、その意識改革に基づきさらに学習意欲を高めることです。そのためには学習の環境を教師が整備することが必要です。

意識改革・意欲喚起・環境整備のどれも学習者が主体的に行うことで、教師が外からコントロールできるものではありません(もちろん誘導はできますが)。

これまでの教師は、教育内容の提示と試験の採点という管理的な業務が中心でした。しかし、AIという学びの支援装置を得たこれからは、教師は、学習者のために意識改革・意欲喚起・環境整備の点で側方支援する存在になる必要があると個人的には考えています。


以上です。この講演会を支えてくださった事務局の方に厚く御礼申し上げます。




2024/03/08

第15回産業日本語研究会・シンポジウム(テーマ:生成AIの普及で日本語のコミュニケーションがどうかわるのか)の予行演習動画と使用したスライドの公開

 

2024年2月20日(火)に第15回産業日本語研究会・シンポジウムの招待講演でお話をさせていただきました。シンポジウムのテーマが「生成AIの普及で日本語のコミュニケーションがどうかわるのか」でしたので、歴史・地政学的観点から思い切って大きな問題意識でお話をしました。結論は「文化越境的」な日本語で文章執筆することと、その文章をAIを使って英語翻訳をすることをもっと進めようということです。


「文化越境的」な日本語は、産業日本語研究会が推奨する「特許ライティングマニュアル」につながると私は考えます。日本語で最初に執筆し、それを英語に翻訳する先人としては村上春樹と柄谷行人を挙げました。私としては、これからの日本は、日本語での表現力を世界の進展に合わせて拡充すると共に、英語での表現力を格段に上げる必要があると考えています。


過去150年ぐらいで、日本語話者は(主に)英語で書かれた思考を日本語で表現できるぐらいに日本語を成熟させることに成功しました。これからはAIを活用しつつ、日本語での思想を英語で表現する英語力をつけることが日本の知的課題であると私は考えます。


私が使ったスライドはここからダウンロードすることができます。


シンポジウム発表に先立って行った予行演習の動画も公開しますので、ご興味があればご覧ください。





追記
シンポジウムの全登壇者の資料はここからダウンロードすることができます。

2024/02/16

「AIの言語生成と人間の言語使用の違い:AI時代の言語教育のための考察」(2023年2月10日 言語系学会連合公開シンポジウム)の発表予行練習動画

 

先日(2024年2月10日土曜日)に言語系学会連合 (https://uals.net/) の2023年度公開オンラインシンポジウム(テーマ:言語教育における生成系AIの活用)で発表させていただきました。

私の発表タイトルは、「AIの言語生成と人間の言語使用の違い:AI時代の言語教育のための考察」でした。

「人間をできの悪いAIのように訓練する外国語教育は不要」という基本的な考えの上に立って、外国語教師はAIの言語生成と人間の言語使用の違い理解した上で人間らしい外国語教育を展開しなければならないと主張しました。違いを理解するためには、書きことばの普及やソフィストの台頭を前に、語りことばの重要性を説くソクラテスを参照することにしました。

下は発表の予行練習録画です。ご興味がある方はご覧ください。



発表で使ったスライドはここでダウンロードできます。


2024/01/12

3/23(土)「人を育てる英語教育:田尻悟郎の授業は大学生の人生にどう影響を与えているのか」FINAL! (TKP大阪本町カンファレンスセンター)定員は先着90名!

 

稀代の実践者である田尻悟郎先生の実践知を解明しようとする2022年8月2023年8月のシンポジウムはどちらも好評でした(私の発表はそれぞれここここ でスライドと動画を見ることができます)。

この度、このシリーズの最終回を3月23日(土)に大阪で開催することにしました。

私は英語教師の実践知をできるだけ言語化することを自分の研究方針の1つにしています。田尻先生の実践を見るたびに、自分の言語化の限界を痛感します。それは実践知の深さを示してくれる心地よい痛みです。

よりよい英語授業を自分で作り出そうとしている人は、田尻実践から多くを学べるはずです。それは田尻先生こそが何十年にもわたる創造者だからです。

対面開催で定員は90名です。詳しくは下のチラシを見て、お申し込みください。この広報は拡散を歓迎します。よかったらお知り合いの方と情報を共有してください。






チラシ(PDF)はこちらからダウンロードできます。


"AI is an empowerment tool to actualize the user's potential."

  本日、「 AIはユーザーの潜在的能力を現実化するツールである。AIはユーザーの力を拡充するだけであり、AIがユーザーに取って代わることはない 」ということを再認識しました。 私は、これまで 1) 学生がAIなしで英文を書く、2) 学生にAIフィードバックを与える、3) 学生が...