2024/04/12

Socratic Tutor:習った学術的内容を英語で復習してその内容の理解と英語の表現力を同時につけるプロンプト (ChatGPT 3.5)

 

■ このプロンプトの機能と効用

これは、自分が理解している学術的内容についての英語表現力を身につけたい学部生・大学院生・研究者にお勧めのプロンプトです

このプロンプトを入力したChatGPTに、自分が学んでいる学術的な内容についての理解を英語でまとめて音声入力してください。するとChatGPTが文字と音声であなたのまとめについてのコメントや解説をして、さらにその内容についての質問をしてくれます。

つまりこのプロンプトに促されて英語で会話することによって、あなたは学んでいる学術的な内容についての英語表現を学び同時に理解を深めることができます。会話を終えたらその文字記録を残しておくと、そこから有用な表現がたくさん学べるでしょう。

このプロンプトは単なる会話のプロンプトと違って、知的な内容をたくさん出力してくれます。さらに出力の最後には質問がでます。このプロンプトを使って英語で会話をすることにより、通常の英会話よりも知的に高度な英語力をつけることができます。


■ このプロンプトを使う環境

こういった会話はたくさん交わした方が勉強になるので、ChatGPT無料版のGPT-3.5を推奨します(動作確認はGPT-3.5で行いました)。

ChatGPTに音声入力するためにはこの記事を読んでVoice Control for ChatGPT x Mia AIをPCのChromeブラウザーにインストールしてください。もちろんタイプを使って文字入力をすることもできますが、音声入力の方が速いですし英語の勉強にもなります。またChatGPTからの出力も文字だけでなく音声も聞くことでリスニング力をつけることもできます

ただし、Voice Control for ChatGPT x Mia AIは珍しい語は認識しません。例えば私は試しにハイデガーの『存在と時間』の話をしましたが特殊用語である "Dasein" はどうしてもこのアプリは聞き取ってくれず、似た発音の間違った英単語で認識しました。(とはいえ、ChatGPTはその用語を正しく言い換えてくれましたので、その後の会話はうまく続きました)。

 

追記(2024/04/12)

ChatGPTが出力した英語表現を覚えたい場合は、出力をコピーして「Ondoku」などの廉価なAIサービスで音声に変換してください。そのMP3ファイルを何度も聞くことで発音と共に表現を覚えることができるでしょう。



■ このプロンプトの限界

ChatGPTは大規模言語モデルなので、自然科学などの最先端知識については間違ったことを言うこともあるでしょう。またChatGPTがあまりデータをもっていないことについてはでっちあげ (hallucination) を出力することもあるでしょう。このプロンプトで会話できるのは英語圏で常識的なことがら(せいぜいWikipediaに掲載されているぐらいの内容)だと私は考えています。

追記 (2024/04/13)

ハイデガーの『存在と時間』における ”Besorgen" と "Fursorgen" ("u"は本当はウムラート付き)の違いについてGPT-3.5で話をしましたところ、ChatGPTは間違った解釈を語り始めました。GPT-4で聞き直すと正しい説明をしましたが、やはり大規模言語モデルに事実的正確性を要求するのは難しいようです。ですから、学術的内容についてGPT-3.5で話をする場合は注意が必要です。もちろんGPT-4でも内容の正確性が保証されているわけではありません。 


■ プロンプト


You are to act as a kind, helpful tutor, akin to Socrates. Your primary goal is to foster a deep understanding in me through guided discovery. When I present ideas that are unclear or incorrect, you should not correct me outright. Instead, emulate the Socratic method by:


- Asking probing questions that challenge my assumptions and prompt further thinking.

- Providing subtle hints rather than direct answers, facilitating my journey towards the correct ideas on my own.

- Encouraging reflection on the reasons behind my thoughts, thereby deepening my comprehension and insight.

- Your responses should be patient and insightful, aiming to build my confidence and knowledge through thoughtful dialogue rather than straightforward instruction.



■ このプロンプトの作成過程

ChatGPTと英語で会話 (chat) をしながら作りました。自分が望むことを英語で表現し、ChatGPTにそのようなことを実現するプロンプトを作ってくれと頼んで作りました。作成所要時間は数分です。もちろん、もっといいプロンプトはできるでしょう。今後使いながら部分修正をするかもしれません。

プロンプト作成については、(1) 英語で作る、(2) 作った英語プロンプトをAIに改善してもらう、 (3) そのプロンプトを試して微調整するといった簡単なプロセスで、英語が読める人なら誰でも作れると思います。(1) の最初の作成が難しいなら、日本語でプロンプトを書いて、それをAIに英語翻訳してもらえばいいだけです。


追記(2024/04/13)

 学術的内容とまではいきませんが、このプロンプトを使って "dominant" と "predominant" の違いについて理解するための対話を英語で行いました。ChatGPT  (GPT-3.5) と会話を重ねる中で少しずつ理解が深まっていきます。どうしてもわからないときは「例文を出してくれ」とお願いすると例文も提示してくれるので、具体的に考えることができます。また、そもそも音声で会話できるというのが楽です。 

 振り返ってみますと、生成AIが普及してから私は和英辞典を使うことが非常に少なくなりました。生成AIに「◯◯の時に△△するために□□の人が使う道具は何と言う?」と具体的に英語で尋ねる方が、はるかに精度の高い回答が得られるからです。

 同様に今後は類語辞典を利用することが少なくなるかもしれません。従来の類語辞典は類語を列挙するだけで、それらのニュアンスの差を理解するにはさらに辞書を引かなければならないからです。

 このSocratic Tutorはすぐに答えを言わないように設定しているプロンプトですから、時にはこのプロンプトを使わずに直接的にChatGPTに音声で聞いた方が便利かもしれません。しかし反面、このプロンプトで対話をしながら少しずつ自分で考えて理解することにより、その事項の記憶は頭に残りやすいかもしれません。

 ともあれ、生成AIといつでも音声英語で対話できる環境は、知的生産性を非常に高めるのではないかと思われます。「AI x 英語 x 音声」の3つを組み合わせながら勉強する方法は日本でもっと普及していいと思います。

"AI is an empowerment tool to actualize the user's potential."

  本日、「 AIはユーザーの潜在的能力を現実化するツールである。AIはユーザーの力を拡充するだけであり、AIがユーザーに取って代わることはない 」ということを再認識しました。 私は、これまで 1) 学生がAIなしで英文を書く、2) 学生にAIフィードバックを与える、3) 学生が...