2024/10/02

実践報告:E3新科目「アクティブリスニング」始動期実践からの省察 --自由な学び合いと多様な競い合いを活かした実践にむけて--


このたび(といっても数ヶ月前ですが)、『京都大学国際高等教育院紀要』第7号に、私の実践報告を掲載していただきました。学生のリスニング力を伸ばすために新設された選択授業(E3科目)の実践報告です。原本は日本語版ですが、それを英語翻訳した2次出版としての英語版も掲載されています。



柳瀬陽介 (2024) 

「E3新科目「アクティブリスニング」始動期実践からの省察 --自由な学び合いと多様な競い合いを活かした実践にむけて--」

Reflection on the Early Implementation of the New E3 Course, Active Listening: Fostering Mutual Learning and Diverse Competition among Learners

『京都大学国際高等教育院紀要』第7号、23-69ページ

http://doi.org/10.14989/ILAS_7_23



この実践はリスニング指導についてのものですが、実践の基本的な考え方は下で述べた『学び合い』です。



柳瀬陽介 (2020)

「大学必修英語科目での『学び合い』の試み --「対話を根幹とした自学自習」を目指して--」

『京都大学国際高等教育院紀要』第3号、23-45ページ

http://doi.org/10.14989/ILAS_3_23



『学び合い』については、私は広島大学在籍時代に、現在は追手門学院大手前中・高等学校にお勤めの福島哲也先生から学びました。福島先生の授業は本当に衝撃的でした。以来、少しずつ私なりに消化できるところだけ消化して授業を組み立てています。ですから、今の私の授業スタイルは厳密な意味での『学び合い』とはほとんど違ったものになっています。ですが、私なりに理解した精神は大切にしているつもりです。


福島哲也先生(数学)の『学び合い』あるいは「教えない授業」

https://yanaseyosuke.blogspot.com/2018/11/blog-post.html

「治療者の倫理性こそが、治療の有効性を担保する」、あるいは「教師の倫理性こそが、指導の有効性を担保する」

http://yanaseyosuke.blogspot.com/2018/11/blog-post_7.html

西川純 (2016) 『学び合い』の手引き ルーツ&考え方編』(明治図書) その他三冊

https://yanaseyosuke.blogspot.com/2019/03/2016.html

木村泰子(2015)『「みんなの学校」が教えてくれたこと 学び合いと育ち合いを見届けた3290日』小学館、他3冊の木村先生の著作

https://yanaseyosuke.blogspot.com/2019/03/201532903.html


実は昨日、前期の授業の匿名授業アンケートが担当教師に開示されました。私の評価はそれなりに肯定的なものでしたが、数件の自由記述で、私の教師としての姿勢のぶれに気付かされました。そんな実践を重ねたり、ビースタの教育学について少し学んだりすると、上の記事のタイトルにした「教師の倫理性こそが、指導の有効性を担保する」という主張は決して絵空事ではないと思わされます。駄弁を弄することなく教師倫理を「示す」毎日を送らねばと思うと、反省ばかりです。


ガート・ビースタ(著)、 亘理陽一、神吉宇一、川村 拓也、 南浦涼介(訳) (2024) 『よい教育研究とはなにか--流行と正統への批判的考察』 明石書店

https://yanase-yosuke.blogspot.com/2024/08/2024.html

ガート・ビースタ(著)、田中智志・小玉重夫(監訳) (2021)『教育の美しい危うさ』東京大学出版会 /Gert Biesta (2013) The Beautiful Risk of Education. Routledge

https://yanase-yosuke.blogspot.com/2024/08/2021-gert-biesta-2013-beautiful-risk-of.html 


実践報告:E3新科目「アクティブリスニング」始動期実践からの省察 --自由な学び合いと多様な競い合いを活かした実践にむけて--

このたび(といっても数ヶ月前ですが)、『京都大学国際高等教育院紀要』第7号に、私の実践報告を掲載していただきました。学生のリスニング力を伸ばすために新設された選択授業(E3科目)の実践報告です。原本は日本語版ですが、それを英語翻訳した2次出版としての英語版も掲載されています。 柳...