先日(といってもかなり前になりますが)発刊された『英語年鑑2020』、今回も光栄なことに書評(英語教育の研究)を書かせていただくことができました。
原稿を書き上げた2019年の11月初旬は、ちょうど、2020年度から予定していた大学入試での英語の民間試験の活用が延期になったことが全国メディアを騒がせていたころでした。
今回、その時点で選んだのは以下の24冊でした。(注)
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酒井英樹・廣森友人・吉田達弘(編著)『「学ぶ・教える・考える」ための実践的英語科教育法』(大修館書店 2018.12)
酒井志延(編著)『先生のための小学校英語の知恵袋』(くろしお出版 2018.7)
上山晋平(著)『はじめてでもすぐ実践できる! 中学・ 高校英語スピーキング指導』(学陽書房 2018.7)
胡子美由紀(著)『中学英語 生徒がどんどん話せるようになる! 即興スピーキング活動』(学陽書房 2018.7)
内山工『英語絵本を使った授業つくり―CLIL的アプローチ指導案12か月』(郁朋社 2018.6)
村端五郎『英語教育のパラダイムシフト 小学校英語の充実に向けて』(松柏社 2018.5)
佐藤響子・Carl McGary・加藤千博(編著)『大学英語教育の質的転換―「学ぶ」場から「使う」場へ』(春風社 2019.1)
大沢真也・市川薫(編著)『地方私立大学の英語教育への挑戦』(ひつじ書房 2019.2)
根岸恒雄(著)『英語授業・全校での協同学習のすすめ』(高文研 2019. 3)
水落芳明・阿部隆幸『これで、小学校外国語の『学び合い』は成功する!』(学事出版 2018. 11)
デイジー・クリストドゥールー(著)『7つの神話との決別』(東海大学出版局 2019. 5)
片見彰夫・川端朋広・山本史歩子(編著)『英語教師のための英語史』(開拓社 2018. 6)
池内正幸・窪園晴夫・小菅和也(編著)『英語学を英語授業に活かす』(開拓社 2018. 9)
手島良『これからの英語の文字指導』(研究社 2019. 2)
アレン玉井光江『小学校英語の文字指導』(東京書籍 2019. 3)
福田純也『外国語学習に潜む意識と無意識』(開拓社 2018. 10)
八島智子『外国語学習とコミュニケーションの心理』(関西大学出版部 2019.3)
小柳かおる・向山陽子『第二言語習得の普遍性と個別性』(くろしお出版 2018.3)
石川有香(編著)『ESP語彙研究の地平』(金星堂 2018. 3)
久保田竜子『英語教育幻想』(ちくま新書 2018.8)
中森誉之『技能を統合した英語学習のすすめ』(ひつじ書房 2018. 9)
小泉利恵(著)『英語 4 技能テストの選び方と使い方』(アルク 2018. 4)
南風原朝和(編著)『検証 迷走する英語入試――スピーキング導入と民間委託』(岩波書店 2018.6)
江利川春雄『日本の外国語教育政策史』(ひつじ書房 2018. 8)
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これらの中で、社会的影響という点では、『検証 迷走する英語入試――スピーキング導入と民間委託』の出版の意義は誰しも認めるところです。阿部公彦『史上最悪の英語政策—ウソだらけの「4技能」看板』(ひつじ書房 2017. 12)とこの書という2冊のブックレット―即動性の高い出版物―は、まさに英語教育の歴史を変えたと言えるでしょう。
個人的には、自分の仕事内容が全学的な英語教育の管理運営に移ってきたこともあり、横浜市立大学の英語教育改革を報告した『大学英語教育の質的転換―「学ぶ」場から「使う」場へ』を面白く読みました。
ちなみに昨年度の書評は、以下の研究社のサイトからダウンロードできます。「イギリス小説と批評の研究」から「英語教育の研究」にいたるまでの14項目におよぶ書評のすべてです。
研究社:英語年鑑2019 回顧と展望
一見非常に地味な取り組みといったら関係者に怒られるかもしれませんが、しかしこういった記述の積み重ねが、将来歴史を考える糧となるかと思います。及ばずながら私も「後世の人はこの原稿をどう読むだろうか」という視点を忘れずに原稿を書いたつもりです。『英語年鑑』の長年の蓄積に心からの敬意を表します。
(注)
この記事を掲載した当初、この記事の冒頭にある時事問題についての私見を書いておきましたが、その私見の判断の根拠となっていた情報が間違っていましたので、その見解は削除しました。判断をする際には、きちんとその根拠を検討しなければならないと反省しています。(2020/03/17)