2025年3月15日に「英語コーパス学会ESP研究会」で、「英学2.0を支援する英語教育研究--英語とAIの相乗効果的覇権の時代における考察」という講演をしました。ここではその予行演習動画と当日に配布したスライド資料を公開します。
この講演では日本の近代史を簡単に振り返りながら、AI時代の英語教育について考察しています。近代史からの考察は、第55回中国地区英語教育学会・島根研究大会・特別講演(2024年6月22日)と第60回片平会夏期研究会・特別講演(2024年8月24日)でも行いました(いずれもブログでは未公開)。本日公開する資料はこれら2つの講演資料と重なる部分を多く含んでいます。
本講演の要旨は以下の通りです。
- 19世紀後半の帝国主義的拡張期に、日本は西洋学問・技術を導入する手段として「英学」を採択し、近代国家としての基盤を形成した。
- その後、英学は「英語教育」へと名実ともに移行した。
- だが、21世紀の新帝国主義・新自由主義・AIと英語の相乗効果的覇権を受けて、英語を通じての知的活動(「英学2.0」)の重要性が高まっている。
- 本講演では、これらの背景をふまえて英語教育研究のあり方について考察する。
近代史を振り返ったと言ったものの、私は歴史については理解が浅いので識者からのご批判を歓迎します。
追記
信頼おける英語教育学史叙述については以下の論文をご参照ください。
江利川春雄 (2022)
「日本における英語教育学と英語教育研究組織の発展史」『中部地区英語教育学会紀要』51 巻 p. 258-263