2022/10/19

新自由主義の後の政治哲学


 【この「時事」カテゴリーの記事は、学生さんへの課題リマインダーに掲載した文章をこのブログに転載しているものです。】


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Rana Foroohar

Globalism Failed to Deliver the Economy We Need

https://www.nytimes.com/2022/10/17/opinion/neoliberalism-economy.html


このエッセイの著者は、過去50年あまりにおいて強力な政治哲学であった新自由主義 (neoliberalism) も、もはや変化せざるを得ない時期ではないのかと説きます。

新自由主義が構想されたのは1938年のパリであり、そこに集まった識者は大恐慌後に国家の権力が強くなりすぎたことを懸念していたそうです。各国が自国の利益だけを追求して市場と社会が混乱するのを防ぐのは、国際的な法と機関だというのがその当初の考えでした。The International Monetary Fundやthe World Bankあるいはその後の the World Trade Organizationもこの考えを受けて作られたと著者は説明します。

新自由主義はレーガンとサッチャーの時代に加速し、2008年の経済危機直前の4年間は過去半世紀の中でもっとも地球上の富が増えた時期であったとも言います。

ですが同時に、国々の中で経済格差が広がりました。安い労働力を求めて資本は国境を超え、多国籍企業が繁栄しました。物価は安く抑えられても賃金は上がらず、各国で経済的に苦しむ層が増えました。そしてその苦悩は、ポピュリズム、ナショナリズム、あるいはファシズム的な政治文化を生みました。

そんな現状を著者は次のように表現します。


The world is beginning to reset -- not to the “normal” of conventional neoliberal economic models but to a new normal. There is a rethink going on in policy circles, business and academia about what the right balance is between global and local.


しかし「ポスト新自由主義世界」についての答えはまだ姿を現していません。


We don’t yet have a new unified field theory for the postneoliberal world. But that doesn’t mean we shouldn’t continue to question the old philosophy. One of the most persistent neoliberal myths was that the world was flat and national interests would play second fiddle to global markets. The past several years have laid waste to that idea. It’s up to those who care about liberal democracy to craft a new system that better balances local and global interests.


皆さんは自分の未来についてどんな見通しをもっていますか?最近の若い世代には悲観的な見方も少なくないと聞きます。「社会はどうあるべきなのか」という問いが、全世界の隅々で同時に考えられ、さまざまな声になることによってのみ、人々にも希望が生まれるのかもしれません。




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