2022/10/13

SNSで自分らしさを失う危険性

 


【この「時事」カテゴリーの記事は、学生さんへの課題リマインダーに掲載した文章をこのブログに転載しているものです。】


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When Facebook Actually Broke My Brain

https://www.nytimes.com/2022/10/11/opinion/facebook-bipolar-disorder.html

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Facebook, Instagram, TwitterといったSNSが、若者の精神的健康を害しているという調査報告は各所から出されています。このエッセイの著者は、直接の因果関係までは主張していませんが、自分がSNSのニュース・フィードを見る時間が長くなった頃とと、自分の精神不安定の時期が重なることを重視しています。


多くのSNSユーザーは、主体性をもってSNSを使いこなしていると言うでしょうが、著者は以下のように問いかけます。


Many of us once saw social media as an amusing time waster, a virtual space we populate and control. But how many times have I picked up my phone to open Instagram without even noticing? How many hours have I spent mindlessly scrolling, and what algorithmically chosen selfies, platitudes, memes and ads now occupy precious real estate in my brain? In participating, we give up control to the higher power of the algorithm.


自分の心を占めているのが "algorithmically chosen selfies, platitudes, memes and ads"というのは恐ろしいですね。


私たちは、強力なSNSアルゴリズムに支配されて中毒患者のようにスマホを手に取りSNSアプリを開いているのかもしれません。


また、自己表現は自分の精神的健康状態を保つために重要ですが、その自己表現をSNS上で行うようになった現代人は、常に他人からの承認や評価を気にし批判や炎上を恐れます。


偽りの自分の姿--多くの人に称賛され非難されない人物像--をSNSに投稿し続け、いつか自分らしさを失ってゆきます。同時に、同じように偽りの姿を晒し続ける他人の投稿を見続けて、自分にはまだ十分に称賛を受けていないとか、自分もいつか炎上の対象になるかもしれないとか恐れてしまいます。


そんな著者が自分を取り戻すために行ったことは、昔のように誰にも読まれることのない日記のような形で自分の思いを綴ることでした。そうすると自分に対して正直になり、自己理解が深まったそうです。それが自信につながり、外の世界でももっと落ち着き、他人に対しても共感をもって接することができるようになったと著者は述べます。


I’ve dedicated myself to unpacking my own story, mostly out of sight of semicurious onlookers and algorithms. Without an audience in mind, I was able to write with fierce honesty. The more I wrote, the more space I took up in my own mind. Grounded in self-knowledge, away from thoughts of engagement, comparison and chaos, I could re-enter public virtual spaces with more confidence, calm and empathy.


もし皆さんの中にSNSをやめられない人がいたら、SNSという表現手段の危険性について真剣に考えるべきかもしれません。






"AI is an empowerment tool to actualize the user's potential."

  本日、「 AIはユーザーの潜在的能力を現実化するツールである。AIはユーザーの力を拡充するだけであり、AIがユーザーに取って代わることはない 」ということを再認識しました。 私は、これまで 1) 学生がAIなしで英文を書く、2) 学生にAIフィードバックを与える、3) 学生が...