この「逆境を活かす新生力( 創造的レジリエンス) は授業 で培える」 (pp. 185-204) という論考は、以前に行った「授業というコミュニケーションの計画性と偶発性」という発表に基づくものです。
ただし紙幅の都合で、「意味の可能性の充実」「参加者の主体性の発展」「社会的信頼の構築」の3つの論点は割愛しています。
この論考の基本論点の1つは下の表でまとめることができます。
今のAIのインパクトを例にすれば、以下の4つの対応が考えられます。
(1) 英語教師がAIの発展を受けて気落ちしてしまう(脆弱性)
(2) 学習者にAIの使用禁止を感情的に厳命する(頑強性)
(3) 一度は気落ちしながらも「私はこれまで通りの授業をするだけだ」とやる気を取り戻す(回復力:復元的レジリエンス)
(4) AIに衝撃を受けながらも、AI使用を取り込んだ新しい英語教育の形を作り出す(新生力:創造的レジリエンス)。
もちろん私は、新生力=創造的レジリエンスが大切だと考えています。そして、創造的レジリエンスは学校の授業でも培えると思っています。ただしそのためには、教師が学習者の身体が示すサインを的確に読み取り、コミュニケーションの偶発性を大切にするべきだと考えています。逆に言うなら、一方向の一斉授業ばかりやっていれば創造的レジリエンスなどは育つわけもないというわけです。
この論考は、村田和代先生が編集した『レジリエンスから考えるこれからのコミュニケーション教育』(ひつじ書房)に掲載されています。編者の村田先生とひつじ書房の皆様には大変お世話になりました。
ひつじ書房のウェブページが紹介していますように、この本には多くの興味深い論考が掲載されています。ぜひご一読いただけたら幸いです。
付記:この論考にはAIについての論点は含まれていません。上の例はあくまでも今の時点で、この論考の趣旨を明確にするために挿入したものです。