2023/05/02

田尻悟郎 (2023) 『おたちょこ』 正進社 -- 中学生(以上)が英語の発想に慣れて、確実に英語力をつけるための指導ガイド

 追記(2023/05/15)

『おたちょこ』本体から、

田尻先生による72本の英文法解説動画を見ることができます。


私も後で気づいたのですが、この『おたちょこ』の冊子の『あるあるカルタ』の項目の多くには小さなQRコードがついています。スマホなどでこれを読み取ると、田尻先生による文法解説動画を見ることができます。

解説の文面は田尻先生が長年考え抜いて実践で試した洗練されたものです。教師が見ても「なるほど」と思う解説も多々あります。さらに動画は田尻先生が丁寧な発声で録音していますから誰にも聞きやすいものになっています。

田尻先生によりますと、この動画は合計72本掲載されているそうです。『おたちょこ』は下の記事に書いているように、非常に優れた教材ですが、これらの動画を見ることによりその有用性は大きく高まります。学習者は優れた解説動画を自分のペースで何度も見ることができるわけですから、『おたちょこ』は格好の自学自習教材となります。


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■ 田尻悟郎先生の長年の知恵の結晶

私が田尻悟郎先生の実践に注目し続けるのは、田尻先生が教師としてもっとも大切な実績--学習者に力をつけさせること--を実現しているからです。徹底的に献身的な指導で英語ができるようにしているからです。

この『おたちょこ』は、学習者の学びを「【おた】すけ」する「あん【ちょこ】」(=虎の巻)です。しかし「あんちょこ」といっても、これは、田尻先生の長年の観察・分析を統合し、わかりやすく提示したものです。この観察・分析・統合・提示が田尻先生の凄さです。


観察:田尻先生は実に丁寧に個々の学習者の言動を観察します。その背後には「一人ひとりの姿を見て個別指導することが指導の鍵」「学習者の間違いを決して蔑まない」といった信念があります。

分析:田尻先生は、学習者の思考回路を解き明かしたり、学習者の困難の原因を特定したりすることに非常に長けています。この意味で田尻先生は超一流の現場研究者です。

統合:田尻先生は観察・分析の結果を、体系化することにも優れています。その体系化も「学習者にわかりやすくまとめます」という原則を徹底しています。

提示:統合した体系を学習者に示す時も田尻先生は実に工夫をこらします。すこしでも直感的にわかりやすい提示になるように何度も改訂します。今回の『おたちょこ』ではイラストレーターの井筒大輔さんが本格的に加わることによってさらに親しみやすい提示になっています。


■ 『おたちょこ』の原理:特に「語順一覧表」と「あるあるカルタ」

『おたちょこ』の原理は、英語にまだ慣れていない学習者を英語の発想に慣れさせることです(想定している学習者は中学生ですが、ただしそれ以上の学習者にもこの方法は使えます)。学習者はまだどうしても最初の発想は日本語で考えてしまいます。

その発想を「語順一覧表」に即して英語に変換させるのがこの方法の基本です。(語順一覧表は『おたちょこ』とは別出版社の下のサイトからダウンロードすることもできます)。


田尻悟郎のWebsite Workshop: 英語指導の部屋

https://sc.benesse-gtec.com/tajiri/guidance/guidance.htm


「語順一覧表」と並んで重要なのが「あるあるカルタ」です。これは学習者がよく犯してしまう間違い(【あるある】)を、覚えやすいように上の句と下の句に分けた(【カルタ】)指導ガイド集です。非常に体系的かつ包括的で、学習者はどんどん英語を書いてこの「あるあるカルタ」でヒントをもらいながら英語の力を確かなものにします。

カルタ形式にしているのは、学習者に正解ではなくヒントを与えるためです。指導者あるいはクラスメートは、間違った英語を書いた学習者に、正解を教えてしまうのではなく、上の句を言うことで学習者に考えさせ正解(下の句)にたどり着かせることができます。あるいは指導者は上の句すら言わず、例えば「『あるあるカルタ』の『Bの名詞句』のところを見てごらん」と示唆することで学習者に学習項目を復習させることができます。学習者同士の学び合いや教え合い(協働学習)にも有効です。

これらの学習項目が一冊の本にまとまっているのは非常にありがたいものです。これらをいちいち教師が説明し直したりすれば学習者は疲労困憊してしまいます。また昨今はAIの活躍が目覚ましいですが、即座にアクセスできるという点では紙の本の有用性はゆらぎません。この「あるあるカルタ」と「語順一覧表」を教師と学習者が共有するメリットは大きいです。



■ 『おたちょこ』の審査用見本と解説動画など

以上の「語順一覧表」と「あるあるカルタ」以外にも、この『おたちょこ』には「パンチゲーム」と「語句リスト」が添えられています。

それらの解説については、下のURLから閲覧できる『おたちょこ(ご審査用見本)』を御覧ください。

この電子リーダーの表表紙、2ページ、3ページ、裏表紙にはQRコードがあります。これから田尻先生の解説動画などを見ることができます。


『おたちょこ(ご審査用見本)』

https://www.seishinsha.co.jp/sample/ei/otachoko/?pNo=1


この審査見本の裏表紙QRコードからアクセスできるのは、出版社による紹介ページです。この本についてのさらに詳しい情報が得られます。(上で言及した解説動画もここから見ることができます)。


『おたちょこ』書籍紹介ページ

https://www.seishinsha.co.jp/book_c/detail.php?b=181


この本は、学校で一括購入する教材です。ご興味のある方は、上の書籍紹介ページから出版社である正進社にご連絡ください。

田尻先生の長年の知恵がこのような教材で多くの人に共有されることは、日本の英語教育界にとって本当に喜ばしいことです。



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