以下に紹介するのは、私が英語を学んだり使ったりするために使用しているデジタル環境(ウェブサイトやアプリ)の一部です。デジタル環境がそろうと英語を学び・使うことが楽しくなり、ますます英語に習熟することができます。習熟するとどんどん世界が広がり人生を楽しむことができます。
英語学習者の参考にするために、ここで私なりのデジタル環境を紹介します。なお、私のパソコン環境はWindows 10です。
1 多目的に使えるAI
ChatGPT:AIへの指示 (prompt) を工夫すること (prompt engineering) で驚くほど多様なことができるAI。英語学習については、翻訳・要約・文体改善・教材作成・ブレインストーミング・エッセイ作成などの使用が有名。音声での英会話相手にもなる(下記参照)。有料版 (ChatGPT Plus) だとアクセス集中期でも利用可能。一定件数内で最新LLM (Large Language Model) であるGPT-4が使える)
https://openai.com/blog/chatgpt
Perplexity:無料で利用できる検索エンジン。LLMとしてはGPT-3 を使っているが、ウェブ上検索をして関連サイトを紹介してくれる。その意味で、調べ物をする時には、通常モードのChatGPTやGoogleよりも便利。iOS用アプリも無料で提供されているので、iPhone/iPadユーザーは手軽に使える(特に音声入力は便利)。忙しい時にはパソコンの横にiPhoneやiPadを置いておき、調べたいことがあるたびにそのデバイスに普通に話すように音声で尋ねるとすぐに答えがでてきてとても便利。
The new Bing:MicrosoftのブラウザーであるEdgeに搭載された検索エンジン。AIを使って対話形式で調べ物ができるのでPerplexityと同じように便利。だが、個人的見解では、反応時間が少し遅いように思える。なお、古いバージョンのBingはAIを使っていないので、利用する場合は注意。
Bard: Googleが公開した生成系AI。後発だが今後に期待できる。
2 言語に特化したAI
DeepL (and DeepL Write):言語翻訳に定評があるAI。有料版 (DeepL Pro) だとアクセス集中時にも使えるし、文書のフォーマットを保ったままの翻訳もできる。だが日英翻訳の質は、入力する日本語が簡潔かつ明確に書かれているかに左右する。またよほど定型的な文章でなければ、英語出力が完璧であることは少ない。最近追加された機能であるDeepL WriteにDeepL翻訳で得た英語出力を入力すれば、文体改善をすることもできる。
https://www.deepl.com/translator
Google Translate:DeepLよりも多くの言語を翻訳できるAI。無料。
Mirai Translate:日本で開発されたAIであり、日本語を含む翻訳能力の充実に努めている。
Grammarly:英文校閲で定評のあるAI。有料版では文体やストーリー(話の流れ)についての提案もしてくれる。ただ私見では、語法やスペリングのチェックでも校閲が不十分なことがあるし、文体やストーリーの提案も的外れのことがある。
追記(2023/04/28)
その後、AIを使った新機能であるGrammarlyGOが加わり、このアプリはかなり有用になりました。一時期は解約しようかと思っていましたが、しばらくは契約を続けます。
QuillBot:文体改善のためのパラフレーズ(文書き換え)AI。有料版だとformal, simple, creativeなどの7種類の書き換えができる。意外に便利なのが付属のGrammar Checker。文体改善や文法校閲は、プロンプト次第ではChatGPTの方が優秀だが、専用AIは使いやすいので忙しい時には便利。
Otter:英語音声の書き起しに特化したspeech-to-textのAIアプリ。英文にカンマやピリオドもつけてくれる。携帯やタブレットでも使える。無料版なら1ヶ月で合計300分(連続では30分)を限度に書き起しができる。(講師の許可を得た上で)英語講義などを録音するなら有料版を購読すべき。
DELE > FAQ:
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-649
Ondoku:使いやすい音声読み上げ (text-to-speech) AIアプリ。無料会員でもかなりのことができる。ただし禁止事項もあるので注意。
https://ondoku3.com/ja/post/terms-licence/
Google Document:Googleアカウントをもつ者なら誰でも使えるウェブ上のワープロソフト。ページを共同編集可能にすれば、複数の人と同時並行で作業ができる(授業でもしばしばこの機能を使う)。
もう1つ便利なのが音声入力 (Tools > Voice Typing) で、英語でも日本語でもマイクに語りかけた文を書き起してくれる。ただしカンマ・ピリオドや句読点は挿入してくれない。とはいえ、急いで文章を書かなければならない時には便利。
https://drive.google.com/drive
追記(2023/05/19)
Voice Typingの書き起こしは上に書いているようにたしかにパンクチュエーションがありませんし、単語の誤認識も少なくありません。しかしそのテクストをChatGPTなどのAIに "Please revise the following transcript." といったプロンプトと共に入力すると整文化されますので非常に便利です。英文で長いメールを書かなければならない時などは、(1) Google DocumentのVoice Typingで音声入力、(2) ChatGPTなどで整文化、(3) Grammarlyなどで最終原稿作成、という手順で英文を作成するととても楽です。
3 Chromeブラウザー(パソコン版)に加える機能
自動字幕起こし:Chromeブラウザーの設定を少し変えるだけで、Chrome上で再生されるメディアの言語音声を自動的に書き起こすことができる(ただ、それを保存することはできない)。字幕は音声から一瞬遅れて出てくるので、リスニング訓練にも役立つ。
https://support.google.com/chrome/answer/10538231?hl=ja
以下は無料のChrome拡張機能 (extension) で、いずれもChrome Web Store (https://chrome.google.com/webstore/category/extensions) から入手。
Language Reactor:外国語学習を支援してくれる。Chrome上で見るYouTube動画およびNetflix動画の書き起し・翻訳全文をダウンロードすること、訳語を見ること、直前の箇所を聞き直すことなどができるようになる。詳しくは下のDELE・FAQを参照。
https://chrome.google.com/webstore/detail/language-reactor/hoombieeljmmljlkjmnheibnpciblicm
DELE > FAQ:
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-603
Voice Control for ChatGPT: ChatGPTとのやり取りを音声で行うことが可能になる。特に便利なのが、これを使ってChatGPTと英会話の練習をすること。詳しくは下のブログ記事を参照。
https://chrome.google.com/webstore/detail/voice-control-for-chatgpt/eollffkcakegifhacjnlnegohfdlidhn
ChatGPTと音声で英会話する方法(簡易版)
https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/04/chatgpt.html
ChatGPT Copy Button Extension:ChatGPTとのやり取りをクリック一つでコピーできるようになる。大量の作業をやる際には便利。
https://chrome.google.com/webstore/detail/chatgpt-copy-button-exten/ijcnijalaeoggpcklpfaijinjjnlochp
editGPT:ChatGPTに添削を求めた場合、元の英文に色付けした形で添削してくれるので一見してどのくらい間違いがあったのかがわかって便利。iのアイコンにはいくつかのプロンプト例がある。 “Proofread this but only fix grammar: [英文]”と “Rewrite this, significantly improving clarity and flow: [英文]” の使い分けは便利。
https://chrome.google.com/webstore/detail/editgpt/mognjodfeldknhobgbnkoomipkmlnnhk
WebChatGPT:無料のChrome拡張機能 (extension) の1つで、ChatGPTが質問に答える際に、ウェブ情報を参照して答えるように指示することができる。もしPerplexityを常用するなら不要かもしれない。
https://chrome.google.com/webstore/detail/webchatgpt-chatgpt-with-i/lpfemeioodjbpieminkklglpmhlngfcn
DELE > FAQ:
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-640
4 パソコンにインストールするアプリ
ハヤえもん:パソコン内のMP3音声を聞くプレーヤー(無料)だが、巻き戻し再生(数秒前の音を聞き直す)ことができるのでリスニング力を上げるには便利。使いこなしについては下のDELE・FAQを参照
DELE > FAQ:
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-640
5 スマホ
自分のスマホに英語での音声入力ができるようにすると、発音の訓練をしながらすばやく操作ができるので便利
iPhone
https://support.apple.com/ja-jp/guide/iphone/iph2c0651d2/ios
Android/Google
https://support.google.com/assistant/answer/7394513
DELE > FAQ:
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-648
6 画像生成AI
Midjourney:英語のプロンプトを並べて画像を生成させるAI。以前、写真撮影を趣味にしていて、仕事ではパワポにイラストなどを入れることを好んでいる私としてはとても魅力的なアプリなので有料で使っている。最初に "imagine" と入力してから言葉を入れるのは、まさにAI時代の想像力の大切さを象徴しているようで私は好き。
Midjourneyの使い方
https://www.famitsu.com/news/202210/01276803.html
まとめ
上にいくつか有用なサイトやアプリを紹介しましたが、これらの中でも自分が特に今のところ重宝しているのは、ChatGPT, Perplexity, DeepL, Quillbot, Language Reactor, Voice Control for ChatGPT, ChatGPT Copy Button Extension, Midjourneyそしてスマホへの音声入力です。
追記
以下の記事は大変よくまとまっていますのでぜひお読みください。
水本篤先生(関西大学 外国語学部・外国語教育学研究科)
英語論文執筆プロセスで活用できるサポートツール
https://mizumot.notion.site/mizumot/939978180dc8488d9951e47e5b4194d0
付記 英語の発音について
上で音声入力が非常に便利であることを述べましたが、もしAIが自分の英語発音を自分の意図通りに認識しないとフラストレーションがたまります(私の場合は、母音(/r/と結びついた母音も含む)で正しく認識してもらえないことがあります)。しかし、AIが認識しないということは、その発音については訓練すべきということです。
自分の発音が多くの人に快適に通じるととても快適です。AI活用を契機に、以下の手順などで発音を自己訓練してみてはいかがでしょうか。
(1) 英語の音素についての基礎的理解を得る
DELE > FAQ:英語の発音を学ぶ。
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-606
(2) 英語の文単位での発音の特徴について理解する
英語音声の特徴をわかりやすく解説している短い動画 (ElementalEnglish)
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-623
https://yanase-yosuke.blogspot.com/2023/05/youtubeelementalenglish.html
(3) 自分の英語発音をAIに判断してもらう
DELE > FAQ:Googleの発音判定とアルファベットによる発音表記
https://www.i-arrc.k.kyoto-u.ac.jp/english/consultation_jp_FAQ#frame-652