2021/03/29

4/24(土)Zoomで開催: 『英語の学びを科学する ー理論と実践ー』(企画・運営:慶應義塾大学・今井むつみ研究室)で実践報告をいたします。

 

岩波新書の『英語独習法』でもおなじみの慶應義塾大学の今井むつみ先生の研究室が企画・運営する研究会で、私も実践報告をさせていただくことになりました。

詳しい情報ならびに申込み(定員200名)については下のサイトをご覧ください。



ABLE ONLINE #04  『英語の学びを科学する ー理論と実践ー』

https://ableonline.studio.site/ableonline04



以下には、その概要を転載しております。


■ 日時:

2021年4月24日(土)9:30 - 12:30

 

■ 場所:

ZOOMミーティングにて開催

 

■ スピーカー

慶應義塾大学 今井むつみ教授

慶應義塾大学環境情報学部教授。Ph. D. (ノースウェスタン大学,1994年)。ABLE主宰者。専門分野は認知科学,特に認知心理学,発達心理学,言語心理学。代表的な著書に,『英語独習法』(2020年,岩波新書),『学びとは何か―<探究人>になるために』(2016年,岩波新書),『言葉をおぼえるしくみ―母語から外国語まで』(2014年,ちくま学芸文庫,共著),『ことばの発達の謎を解く』(2013年,ちくまプリマ―新書),『ことばと思考』(2010年,岩波新書)など多数。小学校や高校の複数の国語教科書に文章が掲載されている。中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「言語能力の向上に関する特別チーム」(平成27年~28年)の委員を務めた。2018年には、Cognitive Science Society (国際認知科学学会)のFellow(特別会員)にアジアで初めて選出された。

https://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imailab/



京都大学 柳瀬陽介教授

1963年生まれ。広島大学教育学部・大学院教育学研究科で英語教育について学ぶ。修士課程では心理言語学的アプローチを取るものの、博士課程でウィトゲンシュタイン哲学に惹かれ始め、英語教育といった多面的で複合的な現象は、自然科学的方法論で厳密に細分化するのではなく、哲学的探究で包括的かつ整合的に捉えるべきと考えるようになる。その後、広島修道大学で一般教養の英語科目を担当した後、母校の教壇に立つ。そこで20年間教師教育に携わる中で、多くの優れた現職教師に接し、実践知に対する畏敬の念が強くなる。2019年4月より、職業生活最後の10年間は、英語教育の評論家ではなく実践家でありたいと願い、現在の職場である京都大学の教養・共通教育を担当する国際高等教育院に異動し、英語科目を担当するようになる。現在はその部局の附属国際学術言語教育センターの英語教育部門長も務める。教育や研究に関する情報はできるだけブログに掲載するようにしている。

https://yanase-yosuke.blogspot.com/



■ トークの概要


認知科学から考える合理的な英語学習

(慶應義塾大学 今井むつみ教授)

 単語をたくさん覚えても、TOEFLで高得点をとれても、英語を話したり書いたりすることが苦手で、母語話者からみるといたって不自然な英文になってしまうのはなぜだろうか。英語を自然に運用するための「英語スキーマ」を持たないからである。「スキーマ」といわば抽象化された枠組み知識で、外界の情報(英語でいうならインプット)の情報を無意識に選択する。母語話者は、構文のスキーマ、単語レベルのスキーマ、語彙化のパターンのスキーマ、談話構造のスキーマなど、言語の様々な階層でスキーマをもち、無意識に運用している。

 日本人英語学習者の多くが、英語スキーマをもたず、英語とは大きくズレた日本語のスキーマを無意識に適用しているため、英語学習に困難を覚え、不自然な英文をつくってしまうのである。今井のトークでは、日本語と英語のスキーマのズレについて解説し、英語スキーマを構築していくための、認知科学から考えた合理的な学習法のしかたを提案する。



実践報告:大学生はライティング授業を通じていかに「英語スキーマ」を学ぶか

(京都大学 柳瀬陽介教授)

 今井むつみ (2020) 『英語独習法』(岩波書店)は、学習者が外国語の理解やアウトプットにも母語スキーマを知らず知らずに当てはめてしまうことを指摘しています。母語スキーマの影響力は強く、外国語を習得するためには、学習者はその力と戦いながら新しい外国語スキーマを形成しなければなりません。外国語習得とは、外国語の認知枠組で考え・感じる身体を獲得することです。今井は、そのような根本的な心と身体の再形成はライティングの訓練を通じて行われうるとも説きます。

 日頃、大学の教養・共通教育課程で英語ライティングを指導している英語教師として、これらの指摘はきわめて納得がゆくものです。本発表では、日本人英語学習者が苦手としがちな、冠詞と可算・不可算名詞、受動態、主題と行為主などの点に関して、大学生がいかに「英語スキーマ」の学びを深めてゆくかについて報告します。大学生のライティングの文例から、英語スキーマの形成について考察します。


ご興味のある方は、どうぞABLE ONLINE #4のサイトでお申し込みをお済ませください。


柳瀬陽介 (2023) 「「英語力」をこれ以上商品化・貨幣化するためにAIを使ってはならない─技術主導の問いから人間主導の問いへ─」『早稲田日本語教育学』第35号 pp.57-72

  この度、『早稲田日本語教育学』の第35号に、拙論 「「英語力」をこれ以上商品化・貨幣化するためにAIを使ってはならない─技術主導の問いから人間主導の問いへ─」 を掲載していただきました。同号は「人工知能知能時代の日本語教育」をテーマにしたのですが、それに伴い、日本語教育と英語...